超異例!? ダイハツ軽「タント」マイチェンで売れ行き増大! ド迫力フェイスへの変更が成功したワケ

個性派に人気のSUV風「ファンクロス」とは?

 タントの売れ行きが伸びた理由として、デザイン以外には何があるでしょうか。改めて販売店に尋ねました。

「SUV風の『ファンクロス』を加えたことも大きいです。今はN-BOXやスペーシアにもカスタムが用意され、人気のシリーズですが、別の個性を希望するお客さまもおられます。

 その点でタントファンクロスは、『スペーシアギア』ともデザインが異なるため、個性を求めるお客様に人気です」

2022年10月に追加されたSUV風の「タントファンクロス」
2022年10月に追加されたSUV風の「タントファンクロス」

 タントが好調な理由として、先代型が数多く販売されたことによる膨大な乗り替え需要も挙げられます。現行型はフロントマスクなどが受けず、先代型の豊富な乗り替え需要を温存していたため、マイナーチェンジの成功で売れ行きが一気に伸びました。

 またマイナーチェンジの前は受注が一時的に下がり、2022年6月のタントの対前年比はマイナス36%でした。7月も18%、8月は再び38%の減少です。この時期の反動で、マイナーチェンジ後の売れ行きが増えた面もあります。

 このタントの販売推移から分かるのは「クルマは顔が命」ということです。受注を終了したトヨタ現行「アルファード」も、2015年の発売時点では姉妹車の「ヴェルファイア」のほうが多く登録されていました。

 その後、2017年のマイナーチェンジでアルファードがフロントマスクの存在感を強め、売れ行きを伸ばしてヴェルファイアを抜いたのです。

 さらに時代を遡ると、トヨタ2代目「セルシオ」も1997年のマイナーチェンジでヘッドランプの周辺を精悍な印象に変更して、後期型で販売不振を解消させました。2代目の後期型は現在の中古車市場でも人気の存在です。

 また、1991年に発売されたトヨタ9代目「クラウン」は、リア側のナンバープレートを下げてリアバンパー中央に配置。テールランプの形状も角を落としたデザインを採用したら売れ行きが伸び悩みました。

 そこで従来型と同じようにテールランプはエッジの効いたデザインとし、ナンバープレートポケットもテールランプの間に戻すと、販売も回復したのです。

 この後もクラウンはテールランプの中央にナンバープレートを装着していましたが、さすがに販売実績が下がってきました。そこでSUVに切り替わった現行型の「クラウンクロスオーバーは」、リアナンバープレートを久しぶりにバンパーへ移しています。

※ ※ ※

 タントが売れ行きを3倍に増やした理由は、ファンクロスの追加を含む「顔」の変更でした。

 クルマは嗜好品的な性格を備えるため、開発費用や製造費用、価格が不動産の次に高い商品なのに、売れ行きはデザインの小さな違いにも左右されます。危うさの上に成り立つ商品でもあることも、クルマが奥の深い魅力を持つ所以なのでしょう。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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2件のコメント

  1. 何のことはない、オラオラ顔とぶりっ子顔が大衆の望むところです。それにフィットしただけの事です。

  2. 何のことはない、オラオラ顔とぶりっ子顔が大衆の望むところです。それにフィットしただけの事です。同様のコメントだしている方がいるって本当?

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