EV版「Gクラス」は2025年に登場か!? 「コンセプト EQG」で進むメルセデスの電動化

2021年からミュンヘンに開催地が変わった「IAA」で発表されたモデルのなかから、モータージャーナリスト山崎元裕が注目する1台を紹介。2018年の宣言どおりに登場した、SUV不動の王者たる「Gクラス」のBEV「コンセプト EQG」の詳細をレポートします。

電動化「Gクラス」市販化秒読み!

 それは、2018年のNAIAS(デトロイト・ショー)でのことだった。このショーでのメルセデス・ベンツのもっとも大きな話題は、伝統のクロスカントリー4WDである「Gクラス」のモデルチェンジであった。

 この場で当時のダイムラーAG会長のディーター・ツィッツェ氏は、同社の電動化プランに関するトークのなかで、将来的にはGクラスさえも電動化するという計画を発表。

 このコメントによって、電気自動車=BEVは都会の街中を走るアーバン・コミューターであるという固定概念が、一気に覆されたのであった。

2018年のNAIAS(デトロイト・ショー)で発表されたGクラスの電動化がついに現実のものとなった
2018年のNAIAS(デトロイト・ショー)で発表されたGクラスの電動化がついに現実のものとなった

●2025年に市販モデルのEQG登場か!?

 それから3年半ほどの時間が経ち、GクラスのBEVは、まずコンセプトカー「コンセプト EQG」として2021年のミュンヘンモーターショー「IAA MOBILITY 2021」に姿を現すことになった。

 ボディデザインは、基本的にはこれまで40年以上にわたって受け継がれてきた、直線を基調とした機能優先のボクシーなもので、もっとも大きく姿を変えたパートといえば、フロントグリルがブラックパネルへと変化したフロントセクションの造形だろう。

 スリーポインテッドスターのエンブレムや、それを取り囲むアクセントライン、3D効果も持つスターイルミネーション、そしてLEDのヘッドランプなど、いかにも未来のBEVらしいデザインが施されている。

 左右のミラーやホイールも、このコンセプトEQGに独自のデザインだ。ダイナミックな造形の前後フェンダーももちろん健在。リアも含め、視界や見切りの良いボディであることは、これまでのGクラスに変わらない。

 リアに背負うケースは、スペアタイヤではなく充電ケーブルなどを保管するために使用される。ルーフにはLEDライトバー付きのラックを装備している点も現在のトレンドといえるだろう。

 シャシはラダーフレームをベースに、フロントに独立懸架式、リアには新開発のリジッドアクスル・サスペンションを組み合わせる。タイヤサイズは22インチ、残念ながら現在の段階では、それ以上の細かいスペックは発表されていない。

 ちなみに原動力となるエレクトリック・モーターは、各輪に搭載される4モーター方式で、それらを個別に制御することによって、オフロードにおいても一定レベルの走破性を確保するようだ。

 バッテリーの搭載位置は、もちろんラダーフレームに守られたフロア部だ。これによってさらなる低重心を実現し、モデルチェンジによってより魅力的になったオンロードでの走りも、さらにスタビリティの高いものに進化を遂げることは間違いないだろう。

 モーターが回転した直後に最大トルクを発揮するBEVであり、しかも4輪が独立して制御されるコンセプトEQGは、オフロードでどれだけの走破性を披露してくれるのだろうか。

 メルセデス・ベンツは今後、Gクラスが育まれてきた地ともいえるオーストリアのグラーツにあるシェルク山のテストコースで走行テストを繰り返し、2025年までにはコンセプトの文字が外れたEQGを市場に送り出したいと考えているようだ。そのデビューが、世界のオフローダー、あるいはSUV市場に大きな衝撃を与えるのは、まず間違いないだろう。

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