新車って現金で買うメリットある? 意外に「ローン」もアリ? 賛否ある購入法とは

ローンのほうが「オトク」になるケースとは

 繰り返しになりますが、原則的に新車の購入において、現金購入がもっとも安く購入する方法です。

 仮に、車両本体価格300万円の新車の場合、現金購入では当然300万円で済みます。

 しかし、頭金なしのフルローンを利用した場合、3年(36回払い)/金利5.0%(年率)の場合、総支払額は323万6856円となります。

 また、同様の条件で支払回数を5年(60回)にした場合、総支払額は339万6822円となり、金利(分割手数料)分が、車両本体価格の10%を超えます。

 ローンを組むのを敬遠するユーザーは、この分割手数料分を「無駄」と感じるのだと思われます。

 生活を守るために必要な貯金(生活防衛資金)とは別に、純粋なクルマの購入予算として300万円の現金を持っているのであれば、現金購入のほうがメリットがあるように思われますが、ローンの最大のメリットは、「現金が手元に残ること」にほかなりません。

 前述の3年(36回払い)/金利5.0%(年率)を頭金なしで利用した場合、月々の支払額はおよそ9万円弱です。

 逆にいえば、クルマの購入時には300万円の現金が手元に残り、なおかつクルマという資産(厳密にはローン会社の所有物ですが)を手に入れることになります。

新車の購入方法は、将来設計において重要な出費となる
新車の購入方法は、将来設計において重要な出費となる

 あくまで生活防衛資金が別にある前提ですが、例えば、その300万円を投資運用したとしましょう。

 もちろん、ギャンブル性の高いものではなく、想定利回り3%が想定される積立投資に、月々のローンの支払額と同等の9万円を3年間積立投資をした場合、3年後の資産は、338万5850円となり、運用益は14万5850円となります。

 もし、想定利回りが5%となれば、3年後の資産は348万7800円となり、運用益は24万7800円です。

 つまり、5%のローンを組んだときよりも、1万944円「オトク」となる計算です(実際には税金や控除などの計算も関わってきます)。

 近年、金融庁を中心に、日本政府は国民への積立投資を積極的にすすめており、一定範囲の投資運用益については非課税とするなどの優遇策も用意されています。

 金融庁のホームページでも、想定利回り3%の商品は「低リスク商品」とされていることからもわかるように、自動車ローンの金利を超える想定利回りを得ることはそれほど難しいことではありません。

「ゼロリスク」を望む人には、いかなる投資運用も不向きではありますが、しっかりとリスクを理解し、そのうえでメリットを計算できる人であれば、あえてローンを活用し、手元に残した現金で資産運用をするのも選択肢のひとつではないでしょうか。

※ ※ ※

 不測の事態にも耐えられるじゅうぶんな生活防衛資金があるのであれば、シンプルに現金購入がよいかもしれませんが、そうでない場合、クルマの購入の際には、さまざまなパターンを検討してみてもよいのではないでしょうか。

 ただし、ここで紹介した内容は、あくまでもひとつのシミュレーションであり、投資は個人の責任でおこなうべきものであることは念頭に置いておかなければなりません。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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