タクシーで「偉い人」はどの位置に座る? ビジネスマナーと自動車メーカーで異なる訳とは

「後席左」は古い? いまの若者の意見とは

 一応、「代表取締役社長」の肩書を持つ筆者(PeacockBlue K.K. 瓜生洋明)は、社内のスタッフから見ると「もっとも目上の人」にあたります。

 そのため、スタッフとタクシーなどに乗る際は、スタッフたちから運転席後ろの座席をすすめられることもありますが、タクシーに近いほうが先に乗る、あるいは先に降りる方が後に乗るという結果となることがほとんどです。

 実際には、タクシーよりも社有車で移動することのほうが多いのですが、ある若いスタッフと移動するときに少し驚くことがありました。

 筆者がハンドルを握り、そのスタッフを迎えに行ったとき、そのスタッフはおもむろに後席後ろに乗ったのです。

 社長が運転するクルマをタクシー扱いしている、あるいは自分を過剰に上に見ている、ととらえれば、この行動はあまり褒められたことではありませんが、一方で普段の行動から決してそういったようすは見られないので、なにか理由があるのだろうと思い、本人に「なぜその席に座ったの?」と聞いたところ、少々驚くべき答えが返って来ました。

 聞けば、そのスタッフにとって助手席は「特別な人の席」であり、「私が座るべき席ではない」とのことでした。

 つまり、そのスタッフにとって、助手席後ろは「『特別な人の席』を侵すことなく、なおかつ運転をしている筆者と会話ができる席」だったのです。

トヨタ「センチュリー」では、助手席の背面にオットマンが付いている
トヨタ「センチュリー」では、助手席の背面にオットマンが付いている

 前述で紹介したような「マナー」に照らし合わせれば、このスタッフの行動は常識外れと言うこともできるかもしれません。

 しかし、本人にとっては明瞭たる論理に基づく行動であるので、無下に否定することはできません。

 思えば、筆者自身も、学生時代に先輩などとドライブした際、助手席は何か特別な場所だったという印象があったことを思い出しました。

 運転してくれる先輩の相棒的存在、あるいは先輩の彼女などのために助手席は空けておかなければならないような気がして、コソコソと後部座席に座った記憶があります。

 学生時代の文化と、社会人のマナーを混同すべきではありませんが、古い時代に作られた、実態に則さないマナーよりも、いま目の前の仲間たちとの関係を優先して乗車位置を決定するのは、決して常識外れではなく、むしろ合理的かつ論理的思考に基づくものだと感じます。

※ ※ ※

 将来、自動運転が普及すれば、いまのクルマとは異なる乗車位置がマナーとしてできるのかもしれません。

 いずれにせよ、マナーとは、それを守ることそのものが重要なのではなく、周囲の人を不快にさせないための一種の指針と考えれば、どんな乗車位置とすべきかは、それほど重要なことではないといえるのではないでしょうか。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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