じつは隠れた名車だった!? 1代限りで消滅してしまった車5選

スズキと三菱の意欲作だったモデルとは?

●スズキ「キザシ」

 軽自動車やコンパクトカーを得意とするスズキがはじめて開発したミドルクラスの4ドアセダンが、2009年に発売された「キザシ」です。

 車名には、世界の市場に向けて新しいクルマ作りに挑戦する「兆し」という意味が込められました。

 スズキのコンパクトカー「スイフト」などに通じる塊感のあるスタイリングのため小振りに見えますが、実際は全長4650mm×全幅1820mm×全高1480mmと堂々たるサイズ。

 欧州車でいうDセグメントにカテゴライズされ、当時のメルセデス・ベンツ「Cクラス(W204前期型)」よりひと回り大きいほどでした。

警察車両でおなじみ!?のスズキ「キザシ」
警察車両でおなじみ!?のスズキ「キザシ」

 日本仕様はワングレードの高級仕様のみ。シートは本革が標準で、運転席は10ウェイ、助手席は4ウェイのパワーシートが備わります。

 インパネにはサテンメッキの装飾が施されたり、スズキ初の9エアバッグが標準になるなど、フラッグシップらしい装備にあふれていました。

 パワーユニットは2.4リッターガソリンで、型式こそSUVの「エスクード」と同じですが、大幅にリファインされて最高出力は188馬力にも及びます。

 海外仕様には6速MTも用意されましたが、日本ではCVTのみ。唯一選べたのが駆動方式で、FFと4WDがラインナップされました。

 前ストラット×後マルチリンクのサスペンションはもちろんシャシまで完全新設計と意欲作ではありましたが、残念ながら販売は振るわず2015年末に販売終了。

 約6年の販売期間での登録台数は3500台に届かず、しかもそのうちの4分の1以上がパトカー(覆面も含む)として警察に納入されているため、一般車両はかなりレアな存在となっています。

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●三菱「アイ」

 三菱「i(アイ)」は、曲線を多用した丸っこいスタイリングが目を惹く軽自動車です。開発は2001年からスタートしましたが、発売に至ったのは2006年のこと。開発期間の短縮がトレンドな昨今と比べると、5年というのはたっぷり時間をかけての開発といえるでしょう。

 それだけに斬新なのは見た目だけにとどまりません。新設計のシャシは、後輪の車軸上にエンジンを配置する「リア・ミッドシップ」レイアウトを採用。タイヤを四隅ギリギリに配することで、2550mmもの超ロングホイールベースを実現しています。

 これはホンダ「フィット」(現行モデル)を上回る数値で、軽自動車としては驚くほど広々とした室内空間を確保しました。

 45度傾けてリアミッドに搭載されたエンジンもまた新開発。アルミ製シリンダーブロックを採用する660ccターボで、MIVEC(連続可変バルブタイミング)が備わります。遅れてノンターボ版も追加されましたが、ターボが64馬力なのに対し、ノンターボは52馬力とややおとなしめです。

 前後重量配分に優れるリア・ミッドシップに加え、軽自動車としては大径の15インチタイヤを履くこともあり(前後異径)、走りは軽快感と安定性のバランスがとれています。

 アイはほとんどの部分を新規に開発したという三菱の力作で、数々の賞を受賞しました。しかしながら、月間目標販売台数を超えられたのは最初の2か月だけと苦戦。マーケットには受け入れられず、2013年9月に販売を終了しました。

 ちなみに、三菱はアイのガソリンエンジンをモーターとバッテリーに変えた「i-MiEV(アイ・ミーブ)」を、世界初の量産電気自動車として2009年に発売。こちらは2021年3月まで生産されていました。

※ ※ ※

 どれも新しいチャレンジをしているクルマばかりですが、残念ながら市場に受け入れられず、1代限りで終焉を迎えてしまっただけで、人気車に対して性能が劣るわけではありません。

 むしろ果敢な挑戦は評価されるべきことで、今後あらためて再評価される可能性は十分にあります。常識的な相場で中古車を購入できる今がチャンスなのかもしれません。

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