2000万円は妥当! もう二度と作れないニュルで鍛えたダッジ「バイパーACR」の本気度

「バイパーACR」は公道を走行可能なサーキットモデルだ

 バイパーACRのコンセプトは、オンロード走行に必要な法規を満たしつつ、かつサーキットを走ることに強くフォーカスしたモデルということになるだろう。

 実際SRT時代には、バイパーは2012年にアメリカ・ル・マンシリーズ、2013年にはル・マン24時間レースに参戦しており、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェでも、7分1秒3というタイムを叩き出していた。その人気がアメリカを中心に爆発したのも当然のことだった。

●2017 ダッジ「バイパーACR」

ロングノーズショートデッキの典型的FRスポーツカースタイルの「バイパーACR」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
ロングノーズショートデッキの典型的FRスポーツカースタイルの「バイパーACR」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 さらにバイパーには、「1of1」プログラムと呼ばれるカスタマイズプログラムも導入されていた。現在では多くのスーパースポーツ&プレミアムブランドでも珍しくなくなったこのプログラムだが、バイパーでは実に8000のエクステリアカラー、2万4000のカスタムストライプカラー、10のホイールオプション、16のインテリアトリム、6つの空力パッケージ等々が用意されていた。

 出品車をオーダーした、最初の所有者の趣味も素晴らしい。微妙な色調のカスタムレーシングストライプと「ブラスモンキー」ホイール、ボディカラーはメタリックフォレストグリーペイントで、それはあたかもグリーン・ヘル(ニュルブルクリンク)を象徴するかのような仕上がりだ。

 さらにこのモデルには、バイパーACRにとってもっとも重要なオプションであるエクストリームエアロパッケージが装備されている。

 このオプションには、調節可能なリアウイング、フロントダイブプレーン、フードルーバー、ブレーキダクト、ディフューザーなどの取り外し可能なパーツで構成されており、最高速域ではノーマル車と比較して799.5kgものエクストラ・ダウンフォースを得ることに成功している。これは、当時の生産車としてはもっとも大きな数字であった。

 バイパーACRは、間違いなくアメリカの究極的なハイパフォーマンスカーだった。多くの自動車メーカーが次世代のパフォーマンスカーに電動化技術を採り入れようとするなかで、今後バイパーのようなモデルが誕生する可能性はほぼないだろう。

 参考までに今回の2017年式ダッジ・バイパーACRの落札価格は、走行距離がわずかに6600kmということもあり、12万−14万ユーロ(邦貨換算約1560万−1839万円)のエスティメートを大きく上回る15万9500ユーロ(邦貨換算約2080万円)であった。その存在が貴重であることを、オークションの参加者は十分に知り得ていたというわけだ。

【画像】ニュル最速を狙うためのエアロを纏った「バイパーACR」とは(34枚)

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