なぜデマが拡散された? 「並行輸入ができなくなる」 SNS拡散で見えた自動車文化の情報網とは

クルマを愛するがゆえに起こってしまった?

 今回の法改正は、一部の並行輸入業者が証明書類を偽造したことが原因であると、3月9日付のプレスリリースに明記されています。

 その背景には、これまで「ラベル」などによる技術適合審査がそれほど厳格ではなかったという実態があるようです。

 つまり、今回の法改正はそうした証明書類の「原本を提出する」といった、極めて当然の内容を実行することが目的であり、並行輸入車を排除するといったものではありません。

 では、なぜこのようなデマが拡散されることとなったのでしょうか。今回の様子を見ると、「誤解に基づく情報の発信」→「インフルエンサーによる拡散」という、インターネットにおける典型的なデマ拡散の構造があったことがうかがえます。

 ここでいう「インフルエンサー」とは、並行輸入業者や自動車ジャーナリスト、元レーシングドライバーといった人々です。

 ただ、これらの「インフルエンサー」のほとんどは、一般的な「有名人」ではありません。

 そのため、今回のデマ騒動は多くの一般人の関心を集めることはなく、あくまで一部の愛好家や関係者が中心となったものでした。この点が、芸能関係のデマなどとは異なっているといえます。

日本では国内未発売モデル専門やクラシックカー専門などさまざまな業者が存在する(画像はイメージ)
日本では国内未発売モデル専門やクラシックカー専門などさまざまな業者が存在する(画像はイメージ)

 そもそも、騒動の発端となった自動車総合技術機構のプレスリリース自体、一般的なニュースとして扱われるような性質のものではありません。

 そのため、一部の人間があくまで「仲間」に向けて発信した内容が、並行輸入車を扱う中古車販売店や、自動車愛好家たちのネットワークのなかで拡散され、耳目を集めることとなったのだと見ることもできます。

 クルマは古くから熱意ある愛好家が多いカテゴリーであり、クラシックカーだけを見ても市場規模はかなりのものといわれています。

 SNSが発達する以前から、そうした愛好家たちは専門のショップ(中古車販売店)や、イベントなどで出会った仲間を中心に情報共有をおこなっており、それがSNSの登場によってより強固なネットワークとなったと考えられます。

 もちろん、悪意の有無にかかわらず、デマの拡散に加担してしまった人々は、その行動を省みなければなりません。

 自分自身がいわゆる「有名人」ではなくても、特定の人々へ強い発信力を持っている場合があることを自覚することも必要でしょう。

 一方、今回のデマ騒動の深い部分には、日本が長年培ってきた自動車文化の強固なネットワークという側面も見ることができるのではないでしょうか。

※ ※ ※

 繰り返しになりますが、ほとんどの場合において今回の法改正は大きな影響を及ぼしません。

 むしろ、悪質な並行輸入業者が駆逐されるという点で、健全な自動車文化の育成に寄与するものととらえることもできます。

 クルマを愛するがゆえに拡散されてしまったともいえる今回のデマですが、そうした熱量がより正しい方向へ進むようにすることが、愛好家たちに求められているといえるでしょう。

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3件のコメント

  1. まぁ、国の自動車文化潰しってデマが流される程が確信だろ。実際の所は合っているし。メディアでも、間違い指摘しても直さないメディアもあるしな。そう言うメディアも消えてほしいな。
    アメリカの25年、カナダの15年みたいなことを日本はやらせないつもり=自動車文化の否定だからな。意外と経団連の連中らも
    噛んでることあるからな。
    デマが流れる程日本は車に対しては、税金取るだけの仕組みでしかないんだよ。
    老害政治家と官僚も消えな。

  2. デマっていう言い方に違和感がある

  3. 技術基準等の適用日以前とは、何年何月何日なんですか?
    情報が中途半端、ライター失格です。

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