地図上は「埼玉・群馬県道83号県道」でもクルマでは通れない!? なぜ

ツイッター上で、ねも@shonanemoさんが投稿した「船で渡る県道」が、話題となっています。いったい、どんな県道なのでしょうか。

利根川で分断された県道

 ねも@shonanemoさんが投稿した「船で渡る県道」の写真が、ツイッターで話題となっています。

 いったい、どのような県道なのでしょうか。

船で渡る県道(画像提供:ねも@shonanemoさん)
船で渡る県道(画像提供:ねも@shonanemoさん)

 写真に写っているのは、一般的な河川敷の光景です。一見どこにでもある、ありふれた景色ですが、地図上で見てみると埼玉・群馬県道83号熊谷・館林線上です。

 ツイッター上では、「埼玉と群馬の国境」や「パスポートが必要!」など、いろいろなコメントが飛びかっており、注目を集めています。

 実はこの場所、利根川上を通る県道として現在唯一となる橋のない公道で、「赤岩渡船」と呼ばれる船で渡る数少ない県道です。

 その歴史は古く、戦国時代の武将、上杉謙信の文献にも登場する程とのことで、江戸からの大型船の終点という河川交通の要所として、坂東16渡津に数えられていたそうです。

 しかし、それは電車やクルマなどの交通機関が発達する前の話です。いったいなぜ県道にもかかわらず、橋を架けることなく渡船のまま運航しているのでしょうか。

 赤岩渡船を管理する群馬県邑楽郡にある千代田町役場に問い合わせてみたところ、「渡船として残していることに、とくに意味はないと思います」との回答でした。

 予想外の回答に驚きを隠せませんでしたが、よくよく聞いてみると、古くから地域に親しまれている赤岩渡船は、数少ない渡船として観光目的の利用者から人気のスポットとなっており、年間1万人以上の人が訪れるそうです。

 また、クルマで県道を渡ることはできませんが、船に自転車や250cc程度のバイクなら積み込むことも可能なうえに乗船料は無料と、利便性も悪くはありません。

 町の担当者は次のように付け加えます。

「昔は生活の足として利用されていた赤岩渡船を、群馬県からの委託を受け、千代田町としてそのまま運営しているだけなのですが、利用者は観光目的の人が多いです」

 ちなみに、この赤岩渡船は、群馬県と埼玉県の県境に位置する為、群馬県と埼玉県が折半する形で運営費用を賄っているそうです。

 @shonanemoさんが投稿した船で渡る県道は、船に乗って群馬県と埼玉県の県境を越えることができる歴史情緒にあふれた道でした。

【画像】どうやって渡るの? 川を渡る県道を画像で見る(7枚)

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