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トヨタ「2000GT」の驚くべき落札価格とは?

 漫画の最初のレース舞台となった「公道グランプリレース」において主人公・風吹裕矢のライバルとなった隼人ピーターソンの愛車として登場するのが、トヨタ「2000GT」である。

ソーラーレッドのボディカラーは非常に珍しいトヨタ「2000GT」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
ソーラーレッドのボディカラーは非常に珍しいトヨタ「2000GT」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 風吹裕矢が飛鳥ミノルに誘われて、初めて富士スピードウェイで練習走行していた際に、早瀬ミキとのデートを賭けておこなったバトルで、トヨタ2000GTは初登場する。

 隼人ピーターソンは、その名から想像できるようにハーフという設定で、非常に女たらしとして描かれている。漫画では、外車に乗りたがる日本人に対して、トヨタ2000GTという素晴らしい国産車があることを風吹裕矢に誇らしげに語る姿が印象的であった。ハーフの隼人ピーターソンが日本車を褒め、愛車にしているというのも心憎い設定である。

 隼人ピーターソンは公道グランプリレースの前年度チャンピオンであり、ドライビングテクニックは、風吹裕矢や早瀬左近とも互角の腕前。しかし、レースに勝つためなら悪質なブロックなども厭わない、完全なるヒール役である。

 そのためか、当時の少年達にはトヨタ2000GTはヒールが乗るクルマとして認知されることになり、人気は今ひとつだったといえるだろう。

 公道グランプリレースでは、トップを走るトヨタ2000GTであったが、雨の熱海ビーチラインで風吹裕矢のロータス「ヨーロッパ・スペシャル」を体当たりで幅寄せするも、コーナーの先で道路が崩れていたために海に落ちてしまうという最期を遂げる。

 今回オークションに出品されたトヨタ2000GTは前期モデルだが、漫画内で隼人ピーターソンがドライブしていたのは後期モデルである。

 トヨタ2000GTは、1967年に当時のクラウンの1998ccのM型直列6気筒SOHCを、ヤマハの手によってDOHCに改良したものを搭載して登場。

 ヘッドもアルミニウム合金製となるなどその改良範囲には非常に幅広いもので、最高出力は150ps。アルミニウム製のオイルクーラーを備えるなど、走りへの準備は万全だった。

 組み合わせられるギアボックスは5速MTで、0−100km/h加速は10.5秒、また最高速は220km/hを記録したという。当時ではいずれも驚愕のスペックといえる数字である。

 ちなみにその価格も同様に驚くべきもので、新車価格は238万円。これは当時のクラウンが2台購入できる価格に相当していた。

 セールス開始から約2年後にはマイナーチェンジも実施され、フロントの灯火類やリアサイドリフレクター、インストゥルメントパネルのデザイン、クーラーの装備、そして3速AT仕様の追加設定もおこなわれた。このMT仕様が、隼人ピーターソンの愛車である。

 生産終了までの生産台数は、マイナーチェンジを期に前期、後期とに分けられ、国内向けが前期型で110台、後期型で108台。輸出用がトータルで102台。実験車などの特殊用途車が14台とされている。ほかにもテスト用プロトタイプや2253ccSOHCエンジン搭載車などもある。

 さて、気になる落札価格だが、70万−85万ドル(邦貨換算約7240万円−8800万円)というエスティメートを大きく上回る91万2500ドル(邦貨換算約9440万円)であった。

 オリジナルカラーであるソーラーレッドは珍しく、北米向けに輸出された62台の左ハンドル仕様のうちの1台、しかも1967年式の前期モデルであるというのが落札価格に大きく影響したものと思われる。

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