2020年10月6日、愛知県警広報課のツイッターにてある「新人」が紹介され、話題を呼びました。
　
　その新人とは、かつては高速隊に配備され、取り締まりの第一線で活躍した、三菱のスポーツカー「GTO」がベースとなる「GTOパトカー」です。
　
　今回は、そもそもGTOパトカーが配備された経緯や、今回広報課に「異動」となった理由について紹介します。

　まず、ベースとなったGTOは、三菱より1990年から2001年まで販売されていたスポーツクーペです。

　ボディサイズは、全長4555mm×全幅1840mm×全高1285mmとなっています。

　搭載されたエンジンは、3リッターV型6気筒ツインターボと自然吸気があり、ターボ車は当時の自主規制値ギリギリの最高出力280馬力を発生しました。

　GTOが発売された1980年代後半から1990年代にかけては、トヨタ「スープラ」やホンダ「NSX」、日産「フェアレディZ」「スカイラインGT-R」など、国産スポーツカーが盛んな時期でした。

　GTOは、これらのモデルに対抗すべく開発された、三菱の技術が詰まったモデルといわれています。

　そんなGTOをベースにしたパトカーが導入された経緯や、今回広報課に異動となった理由、今後の活動について、愛知県警広報課の担当者は以下のように話します。

――GTOパトカーの導入やこれまでの簡単な歴史を教えて下さい。

　1997年に警察庁より配備されました。「なんでGTOなのか？」については正式な理由が発表されていませんが、私が想像するに、当時は国産車の高性能化が進んでおり、足の早いクルマが増えていました。

　そんななかで、取り締まる側も高い性能を有したものを配備すべき、として配備されたのだと思います。

　当初は高速隊に配備され、取り締まりにおいて活躍しました。しかし、4シーターではありますが後部座席が狭く、使い勝手が良くなかったことから使用頻度が下がり、徐々に現場から退いていきました。

――今回、高速隊から広報課に「異動」されたとのことですが、その理由を教えて下さい。

　2020年の夏に車検をもって廃車になるという話があったので、「だったら広報課で使えないか？」という検討をした結果、配備されることになりました。

――広報課となったことで、今後はイベントでのお披露目が中心となるのでしょうか。

　今後は取り締まりで使われることはなく、愛知県警のイベント車両として運用されます。

　今はコロナ禍でイベントが減っていて出番は少ないですが、頻度は増やしていければと思います。

　また、あらゆる広報素材としても使っていきたいと考えています。交通安全ゼロ運動のため各地に貸し出したり、SNSでインフルエンサーとコラボしたり、さまざまな企画を検討しています。

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　GTOパトカーは、愛知県警のほかにも高速隊パトカーとして、あらゆる地域に前期型、中期型、後期型MRが導入されていました。

　現在はほとんどの車両が廃車になっているとのことですが、愛知県警では廃車にすることはなく、イベント車両としての積極的な運用を検討しているようです。

　また、GTOのほかにも、スポーツモデルのクルマがパトカーに採用されるケースは多くあります。

　警視庁や神奈川県などでは日産「GT-R」を採用しているほか、その他の地域ではホンダ「NSX」やマツダ「RX-7」、最近では2020年9月に栃木県警がレクサス「LC」を導入し、話題となりました。

　このように名物パトカーは各地に点在しているため、もしかしたら普段何気なく走っている最中に、見かけることができるかもしれません。