2億円オーバーで「ヴェイロン」が落札!! 新車時よりお求めやすくなった
1200ps版ヴェイロンは、クーペ or オープントップ、どちらが高い?
デビューののちのヴェイロンには、多種多様なビスポーク特装車両が少数のみ作られたほか、エンジンやボディに手を入れた派出モデルも、続々と設定されていった。
●2012 ブガッティ「ヴェイロン16.4スーパースポーツ」
2012年型「ヴェイロン・スーパースポーツ」も、派出モデルのひとつだ。2010年「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」にて世界初公開されたスーパースポーツは、もとより驚異的な高性能を誇るヴェイロンをベースに、さらなるブラッシュアップを図ったモデルで、30台ほどが生産された。
まずエクステリアでは、エアロダイナミックス性能にさらなる磨きをかけるべく、固定式ルーフを後方へ延長し、エンジンの上を完全にカバーするデザインとした。
フロントはエアインテーク開口部の拡大とデザイン変更をおこない、リアには大型のダブルディフューザーと、空力的デザインを盛り込んだ新エグゾーストシステムを採用。また、総カーボンファイバー製モノコックには新しいファイバー構造を導入し、ボディ剛性をアップしつつも軽量化を達成したとアピールされていた。
8リッターW16+4ターボのエンジンは、ターボチャージャーの大径化や大型インタークーラーなどを採用したことによって最高出力を1200psまでスープアップ。一方、サスペンションについてもスプリングやスタビライザーを強化。もともとはレーシングカー用に開発されたという専用設計のショックアブソーバーも採用し、このクルマの本分たる超ハイスピード域でのスタビリティを高めている。
そして、この恐るべき高性能を証明しようとした当時のブガッティは、この「16.4スーパースポーツ」のワールドプレミアに先立って、ドイツのVWグループのテストコースに車両を持ち込んで最高速チャレンジを実施した。
このスピード記録チャレンジでは、元F1ドライバーにして、2006年からブガッティの公式ドライバーを務めていたピエール・アンリ・ラファネル氏のドライブで2回の計測の平均値、431.072km/hが、市販車の新しいギネスブック世界最高速記録として正式に認定されることになった。
スーパースポーツの製作台数はわずか48台のみで、日本国内での販売価格は2億8900万円だったとされている。今回の「The Bonmont Sale 2020」に出品された車両は、スイスにデリバリーされ、現在に至るまでワンオーナー車。走行距離は693kmに過ぎない。
そして、ボナムズ社が設定したエスティメート(推定落札価格は)は、160万−210万スイスフラン、日本円換算では約1億9000万円−2億5000万円だったのだが、9月20日におこなわれた競売では184万スイスフラン、日本円換算で約2億1100万円でエスティメートに到達。無事落札となった。
ヴェイロン・シリーズのなかでも、ギネス記録更新に代表されるアイコニックな記号性を持ち、しかも希少であることが評価されての落札価格と推測されよう。
●2013 ブガッティ「ヴェイロン16.4 Gグランスポーツ・ヴィテッセ」
ボナムズ「The Bonmont Sale 2020」に出品された3台のヴェイロンのなかでも、究極の1台ともいえるのが「グランスポーツ・ヴィテッセ(Grand Sport VITESSE)」だろう。
いよいよモデルレンジ最終期を迎えていたヴェイロンに設定された、オープントップの「グランスポーツ」と最強版「スーパースポーツ」両方の要素を併せ持つ「グランスポーツ・ヴィテッセ」は、2011年3月のジュネーヴ・ショーにて世界初公開された。
VITESSEはフランス語で「スピード」を意味するとのこと。そのペットネームが示すとおり、グランスポーツに、スーパースポーツにも搭載される1200psスペックのパワートレインを搭載したモデルだった。
また、これまでのグランスポーツ以上にボディ剛性が高められていたほか、スーパースポーツに盛り込まれた空力チューンの多くが移植された。
最高速度は410km/hと公表されたが、実際の記録チャレンジでも408.84km/hをマーク。まさにオール in ワン、「全部乗せ」のようなヴェイロンながら、その推定落札価格は160万−210万スイスフラン、日本円換算では約1億9000万円−2億5000万円と、今回同時出品されたヴェイロン・スーパースポーツと同額とされていた。
オークションに出品されたのは、92台が製作されたグランスポーツ・ヴィテッセのひとつ。こちらもほかの2台と同様スイスで登録された。WEBカタログによると現在に至るまでワンオーナーで、走行距離はわずか577kmと発表されている。
そして20日の競売では、リザーヴ(最低落札価格)に届かず、こちらもボナムズ社営業部門による継続販売となってしまったようだ。流札に終わった理由としては、第三者が入札するオークションでは、前オーナーの印象が残りやすい、真っ赤なカラーリングが敬遠されたことなども考えられよう。
しかし、やはりスーパースポーツの2倍近い台数が製作されたことが、大きな要因のひとつとなってしまったことは否定できない。
グランスポーツ・ヴィテッセの92台も充分にレアといえる数字なのだが、やはり希少価値が重視されるこの世界では、製作台数は少なければ少ないほどプライスに反映されてしまうというのは、やむを得ないことなのだろう。
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