韓国ヒュンダイが再上陸!? トヨタ・ホンダに追従? BTSコラボでFCV市場を狙う
すでに複数回にわたって報じられてきた韓国自動車メーカー大手ヒュンダイ(現代自動車)の日本再進出ですが、日本向け公式ホームページが開設されるなど、いよいよ秒読み段階に入っています。一度は撤退した日本市場に勝機はあるのでしょうか。
突如公開された日本向けHPとネッソのWebカタログ
2020年9月11日、韓国自動車メーカー最大手のヒュンダイ(現代自動車)の日本向け公式ホームページがリニューアルされていることが明らかになりました。
かつてヒュンダイは日本でも正規輸入されていましたが、国内メーカーのクルマに対して優位性を見せられなかったことなどから2009年をもって撤退しています。
それから現在にいたるまで、おもに大型バスの正規輸入を行う現代自動車ジャパンや、研究開発施設である現代自動車日本技術研究所などの拠点は残してありましたが、乗用車の正規輸入からは遠ざかっていました。
しかし、すでに何度か報じられている通り、近年になってヒュンダイが日本市場へ再進出するのではないかというウワサが業界内を駆け巡るようになりました。
2019年4月には、同年秋の東京モーターショーにて、ヒュンダイが大規模なブース獲得を試みているとの報道があったものの、その後、日韓関係の悪化などもあり、モーターショーへの出展は実現していません。
しかし、翌2020年3月には、技術者向けイベントに燃料電池自動車(FCV)の「ネッソ」を出展。
また、6月にはヒュンダイ・ジャパン公式Twitterアカウントが開設されるなど、再進出に向けたと思われる動きが加速していました。
そして今回、先述の現代自動車ジャパンではなく、グローバルのヒュンダイ公式ホームページのなかに日本向けページが用意され、そのトップページには先述のネッソが「次世代モビリティ」のキャッチコピーとともに大きく掲載されています。
さらには、ネッソの詳細を紹介するページや、Webカタログまで用意されています。
詳細ページに掲載されている画像は日本で撮影されたものであり、登場するネッソも右ハンドルかつインストルメントパネルに表示される情報が日本語であることなどから、日本仕様となっていることがわかります。さらにいえば、Webカタログを見るとすでに型式を取得しています。
ちなみに、「サービス拠点」というページには、日本全国の自動車販売会社などの企業名が並んでいますが、こちらは2009年までに導入されたかつてのヒュンダイ車のアフターサービスをおこなっている企業であり、そのなかの1社に取材したところ「再進出の話は聞いていない」とのことです。
また、金額や販売方法などの詳細は明らかにされておらず、いまだヒュンダイ・ジャパンからの公式な発表はありませんが、これらの既成事実から、ヒュンダイの日本再進出が秒読みであることは疑いないでしょう。
しかし、一度は撤退した市場である日本に対して、ヒュンダイが再進出を果たしたとしても勝機はあるのでしょうか。
たしかに、2010年代以降ヒュンダイは躍進を遂げました。
欧米の自動車メーカーのデザイナーやエンジニアを招いたことで、デザインや品質は向上し、かつコストパフォーマンスに優れるクルマをつくったことで、欧州や北米のみならず、新興国でも販売台数を伸ばしてきました。
また、巨大資本を基盤にした圧倒的なマーケティングも実施。成長市場であるロシアのある広告代理店関係者は「(ロシアでは)日本の自動車メーカーの広告費が100だとしたときに、欧州メーカーは200、韓国メーカーは300もの広告費を投じている」と語ります。
その結果、現代自動車グループの2019年の世界新車販売台数は約719万台と、VWグループ、トヨタグループ、ルノー・日産・三菱アライアンス、GMグループに次ぐ、堂々の第5位へと成長しています。
とはいえ、すでに「コスパのいいクルマ」がよりどりみどりの日本において、わざわざ韓国車を購入する理由は正直ありません。
超高級車ブランドであれば、ごく一部のターゲットに販売することで利益を確保できますが、ヒュンダイのような量販車ブランドでは、少なくともVWに匹敵するレベル(年間5万台以上)を販売しないと採算がとれないと思われます。
もちろん、真のグローバルメーカーになるために、日本市場に意地でも販売したいという気持ちはあるかもしれません。
クルマ離れが叫ばれているとはいえ、日本はいまだに世界第3位の新車販売市場であり、自動車大国のひとつです。
生まれ変わったヒュンダイ車で、日本市場にリベンジを果たすのはヒュンダイにとっては悲願といえるでしょう。
一方で、ヒュンダイほどの大企業が、ビジネス視点を無視して日本再進出を果たすとは考えにくいのも事実です。そこでカギとなるのが、前出のネッソです。
欧米におけるヒュンダイのベストセラーカーには、「i20」や「コナ」、「エラントラ」など多くのモデルがありますが、現在公開されている日本向け公式ホームページにはそうしたモデルの情報はなく、FCVのネッソのみです。
FCVは、元々日本の自動車メーカーが開発をリードしてきました。
石油資源のほとんどを輸入に頼る日本にとって、化石燃料を使用しない電動車両の開発は急務であり、そのひとつの完成形が水素をエネルギーとするFCVだったのです。
実際に、トヨタは2014年に「ミライ」を、ホンダは2016年に「クラリティ フューエルセル」を販売しています。
欧米の自動車メーカーでは、FCVよりもおもに電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の開発に積極的でしたが、日本の自動車メーカー以外で唯一FCVの市販化に成功したのが、ヒュンダイでした。そのFCVがネッソだったのです。
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