SUVはブームじゃない!? トヨタが続々投入 世界でトレンド化する背景に新興国の影響あり?
2020年9月上旬にトヨタは国内のSUVラインナップとして9車種目となる新型「ヤリスクロス」を発売します。2015年時点では5車種しかなかったSUVラインナップですが、なぜこの5年で急激に増えているのでしょうか。
なぜトヨタはSUVを続々投入する?
2015年には5車種しかなかったトヨタのSUVラインナップですが、2020年7月現在では8車種に増え、さらに9月上旬には「ヤリスクロス」も追加されます。なぜトヨタはSUVに積極的なのでしょうか。
2015年時点では、ダイハツからのOEM車として「ラッシュ(2016年3月販売終了)」「RAV4(2016年8月販売終了)」「ハリアー(先代の3代目)」「ランドクルーザープラド(現行モデル)」「ランドクルーザー(現行モデル)」がラインナップされていました。
当時は、ランドクルーザーシリーズやハリアーはすでにブランドが確立していることから別格の存在としても、RAV4やラッシュはモデル末期であり、機能面や価格面から見ても積極的に選ぶクルマではありませんでした。
一方、2020年7月現在では、ランドクルーザーおよびランドクルーザープラドに加えて、フルモデルチェンジしたハリアー、カムバックした「RAV4(派生車:RAV4 PHV含む)」、スタイリッシュな都会派SUVの「C-HR」、現在唯一新車で買えるピックアップトラックの「ハイラックス」、2020年上半期販売台数1位に輝いた5ナンバーサイズSUVの「ライズ」といった車種がラインナップしています。
さらに、9月初旬には「ヤリス」ベースのコンパクトSUVである「ヤリスクロス」の登場も控えるなど、SUVに関してまさに盤石の体制となっています。
もともと、日本のトップメーカーでありフルラインナップメーカーであるトヨタは、他メーカーに比べてラインナップが多いという特徴がありました。
しかし、2016年のC-HRの発売以降、明らかにSUVラインナップを拡充しているのには、どのような背景があるのでしょうか。
トヨタに限らず、近年各メーカーのSUV攻勢はすさまじいものがあります。トヨタはもちろん、国内のほぼすべてのメーカーがSUVを主力車種に据えているほか、海外メーカーも積極的にSUVを投入しています。
ロールスロイスやランボルギーニといった、これまでSUVとは無縁のイメージだったブランドがSUVを発売しているのもここ数年のことです。
これほどまでに各メーカーがSUVを投入するのには、それぞれ個別の事情はあるにせよ、その根本は中国をはじめとする新興国の隆盛があります。
2000年以降、新興国の経済が著しく成長し、そうした国で新車を購入できる人々が増えるようになりましたが、新興国では未舗装路も多くセダンのような最低地上高の低いクルマでは実用面で不安がありました。
一方、各メーカーのラインナップには悪路走破性能の高いクロスカントリービークルがありましたが、日常の利用には不便なことも多く、また価格や環境性能といった面でも課題があったのです。
そこで、各メーカーは乗用車をベースに、クロスカントリービークルのようなスタイルを持ったクルマの開発に乗り出し登場したのが、クロスオーバーSUVです。
このクロスオーバーSUVの登場によって、最低限の悪路走破性は持ちつつ、乗り心地もよく、また価格や環境性能の面でもほかの乗用車とそん色ないレベルのクルマが登場することになります。
そして、このクロスオーバーSUVは、新興国のみならず日本をはじめとする先進国でも人気を博します。最低地上高が高いことで多少の段差は気にしなくても良いという安心感に加えて、セダンに比べて室内空間が広く、それでいてミニバンよりもデザイン性が高いことや、視点が高いため不慣れな人でも運転がしやすいという点がとくに評価されたのです。
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