【本物】ナイトライダーの「キット」が、2000万円で落札された!
3台製作された劇中車の1台、その落札価格は?
今回ジュリアン・オークション社の「Hollywood:Legends & Explorers」オークションに出品された「ナイト2000」は、1983年に「ハリウッド・プロダクションズ」社が購入し、ドラマ出演およびプロモーション活動のために3台製作されたうちの1台。
●本物のナイト2000、その評価はいかに?
北米で「ナイトライダー」全シリーズの放映が終了した1987年、ドイツ語圏ではロックミュージシャンとしても人気を博していたハッセルホフ氏が、自身のバンド「ナイトロッカーズ」のコンサートツアーに帯同するため、オーストリアにナイト2000を持ち込んだとされる。
ナイト2000はコンサートツアーの終了後もオーストリアに残り、ウィーン近郊の小都市シュトッケラウの自動車博物館「Siegfried Marcus Automobile Museum」に、2005年ごろまで展示されていたという。
その後、デーヴィッド・ハッセルホフと「キット」の声を当てた俳優ウィリアム・ダニエルズのサインが書き込まれ、証明書も添付されたこの「ホンモノのナイト2000」は、いったんアメリカに戻されていた時期もあったそうだ。しかし、NBCと同じ企業グループに所属する「ユニバーサルスタジオ」が自社企画の出張イベントのため、および「デーヴィッド・ハッセルホフ&ナイトロッカーズ」ツアーの目玉とするために、再びオーストリアに移送したとの記録が残されている。
前世紀末から長らくアルコール依存症に悩み、このツアーに再起を賭けていたハッセルホフは「このクルマは2010/2011におこなわれた、私のカムバックツアーに帯同してくれたほか、たくさんのTVショーやコンサートでも私を助けてくれました。」と語ったとのことである。
世界が注目していた「ナイト2000」の競売については、売り手であるオークションハウスがクラシックカー/コレクターズカー専門ではないことに加えて、いわゆる相場の無いクルマであるせいか、推定落札価格については10万?20万ドルという、かなり広めの幅が設けられていた。
2週間にわたって展開されるオンライン競売は、まず2万5000ドルからスタートした。そののち数日で2件の入札があり、価格は3万2500ドルに上昇したのだが、さらに翌日には1件のみの入札で2倍に相当する6万5000ドルまで急騰。現オーナーとオークショネア側が最低落札価格を設定していなければ、入札終了まで12日を残して、そのまま落札の可能性も見えてきた。
ところがその後もビッドは小刻みに続けられ、数日後には7万5000ドルに上昇。そして入札が締め切られる前日にはエスティメート下限に相当する10万ドル(約1078万円)まで届いたのち、7月17日午前10:00(現地時刻)の締め切り直前には、この種のオンラインオークションではお馴染みとなったビッド合戦が展開されたようだ。
翌日発表された落札価格は、手数料を合わせればエスティメート上限に迫る19万2000ドル(約2054万円)となったのだ。
日本円換算で2000万円を超えたこの落札価格について、驚きの高価格と見るか、それとも知名度と人気の割にはリーズナブルと見るかは、人によって意見が分かれるところだろう。
それでも、同年代のファイアーバード・トランザムが概ね1万ドル前後。「デイトナ500」レースの元ペースカーなど、特別なヒストリーを持つ個体でも2万ドル以内で取り引きされている現況と比較すれば、やはり「ナイトライダー」の威光はいまなお健在と納得させられてしまったのである。
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