ゾンダにウアイラ、世界に唯一つのパガーニだけの博物館とは?

いまやフェラーリやランボルギーニよりも高価なハイパーカーを少量生産するメーカーとして、世界的に知られているパガーニ。そのイメージに合った新ヘッドオフィスが竣工したのが2016年だ。この新ヘッドオフィスには、ファクトリーとミュージアムが併設されており、ミュージアムは一般公開されている。気になる展示車両には、何があるのだろうか。

創設者オラチオ・パガーニの情熱が詰まった、パガーニ・ミュージアムは見応え充分!

 2016年に完成したパガーニの新社屋は、創設者であるオラチオ・パガーニ氏の情熱と理想を具現化した聖地であった。

 年産50台を目標に拡大されたファクトリーとパガーニの歴史に触れることができるミュージアムとがひとつになったパガーニのヘッドクォーターとはいったいどんなところなのだろうか。

パガーニのヘッドオフィスは、ガラス張りの建築。夜になると日中とは違う表情を見せる
パガーニのヘッドオフィスは、ガラス張りの建築。夜になると日中とは違う表情を見せる

 いまや世界中のスーパーリッチから認知されている、ハイパーカーメーカーのパガーニは、どのようにして現在の地位へと上り詰めたのであろうか。

 創設者であるオラチオ・パガーニは、自らの手でスポーツカーを作るため、28歳のときにアルゼンチンからイタリア・モデナへと渡ってきた。その際、アルゼンチンの英雄であったF1ドライバー、ファン・マヌエル・ファンジオ・デラモからの紹介状だけが頼りだった。

 最初に職を得たのは、ランボルギーニだった。そこで、「チータ」のプロジェクトや「カウンタック・エボリューション」の開発チームの一員となり、その後に「カウンタック25thアニバーサリー」のデザインを担当するに至る。

 1991年には、「モデナ・デザイン」を立ち上げ、ランボルギーニだけでなくフェラーリや世界各国のメーカーにカーボン技術で貢献することになる。そして、1993年にパガーニ・ゾンダ・プロジェクトをスタートし、1999年のジュネーブ・モーターショーで、パガーニ「ゾンダC12」を発表する。

 この後、「ウアイラ」を生み出し、ハイパーカーメーカーとしての地位を確固たるものにしている。

 1991年に建てられた旧社屋は、ファサードのある面に傾斜をつけたガラスウォールとなっていたが、2016年に竣工した新ヘッドオフィスも、ガラス張りの建築であった。

新旧パガーニが、これだけ一堂に会している場所は、ここしかないだろう
新旧パガーニが、これだけ一堂に会している場所は、ここしかないだろう

 内部に入ると、外観から想像されるクールな印象とは違うあたたかな雰囲気が感じられる。それは、床に配されたイタリアのどこの街でも見られるような石畳であったり、古い建物を想起させるレンガ積みの壁からくるものだ。

 聞くと、イタリアの街にある広場をイメージしてデザインしたという。オラチオ氏が手掛けたゾンダやパガーニが、新しいなかに古典的なエッセンスが加味されているのとまったく同じで、何とも興味深い。

 新社屋のテーマは、「アート」そして「サイエンス」。それに「パッション」を加えているという。まさしくそれはオラチオ氏が手掛けたクルマとまったく同じコンセプトだ。

 正面のエントラントから建物に入ると、左手に受付がある。その先が、パガーニのミュージアムとなっており、入館料を支払えば歴代パガーニをたっぷりと間近で堪能することが可能だ。

 かつて旧社屋を訪れた際に、ランボルギーニ時代のボツ案となったデザインや幼い頃に製作した木製のミニカーなどが、大切にガラスケースのなかにしまってあったのを見たが、それらももちろんショーケースに展示されていた。オラチオ氏が無名時代に手掛けたF2やミニバイクといった作品も並んでいる。

 オラチオ氏自身、アートとサイエンスの融合を目指して車両を開発していると語っており、パガーニのミュージアムを見て歩くとき、機械工学的にクルマを検分するのも面白いが、絵画を鑑賞するようにクルマを見てみるのも一興である。

 パガーニ・ミュージアムを訪れる際は、ミュージアムだけでなく、ファクトリーツアーとセットで楽しむことをオススメする。

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