400馬力対決! ジャガー「Iペイス」は、ガソリンエンジンの「レンジローバー・スポーツ」に勝てるのか!?

ストレートシックスの優位性を打ち出したSUV

 ランドローバーからのチョイスは、「レンジローバー」、「レンジローバー・スポーツ」、「レンジローバー・ヴェラール」、そして「レンジローバー・イヴォーク」と、4モデルが出揃うレンジローバー・シリーズのなかから、その名のとおり走りをもっとも強く意識するとともに、レンジローバーの名に恥じないラグジュアリーな内外観、そして装備を誇る、「レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィー・ダイナミック」(以下レンジローバー・スポーツ)をチョイスした。

ランドローバー「レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィー・ダイナミック」
ランドローバー「レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィー・ダイナミック」

 このモデルにはさらに3タイプのエンジンが選択可能だが、スペックとしては中間となる400psの3リッター直列6気筒エンジンを搭載するP400を選ぶ。価格は1272万円(消費税込み)。SUVとして現実的ではないという声も聞かれそうだが、その市場は確かにこの日本にもあるのだ。

 まずはSUVの世界では、ジャガーとは比較にならないほどに長い伝統と多くの経験を持つランドローバーの新作、レンジローバー・スポーツのシートへと我が身を収める。

 シートポジションの高いSUVだけに乗降性はさほど良くはないのだろうと予想していたのだが、座面は想像するより低く設計されており、予想するよりスムーズに着席、そして正確なシートポジションを得ることができた。

 キャビンからの視界も悪くない。精悍で都会的、そしてスムーズな面構成が特徴的なボディは、外から見ているよりもずっと見切りが良い。

高級感、快適性、機能性を備えたレンジローバー スポーツのインテリア
高級感、快適性、機能性を備えたレンジローバー スポーツのインテリア

 搭載されるエンジンは最新の3リッター直列6気筒ターボで、これはジャガー・ランドローバーによる完全自社設計、そして製造によるものだ。

「インジニウム」というネーミングで、このガソリンのほかにディーゼルも用意される最新世代のエンジンとなる。注目の最高出力&最大トルクは400ps&550Nm。48Vのマイルドハイブリッド・システムを組み合わせることなどで、8.9km/Lの燃費を実現するなど、効率の向上を狙っているのも大きな特長だ。

 組み合わせられるトランスミッションは8速AT。駆動方式はもちろんフルタイムAWDとなり、オンロードはもちろんのこと、オフロードでも卓越した走行性能を堪能できる。

 その楽しさを支えているのは、やはり電子制御のエアサスペンションやツインスピードトランスファーギアボックス&センターデファレンシャル、そしてテレインレスポンスなどによる、最先端のシャシー制御だろう。

 エアサスペンションは、標準の車高から50mm低い設定から75mm(オフロードでは80mm)のアップが可能だ。さらにランドローバー独自のテレインレスポンスは、走行状況に応じて、エンジン、トランスミッション、デファレンシャル、シャシを自動的にセッティングしてくれ、安全で効率的なドライブを車両側が常にサポートしてくれる。

 こうしたことが相まって、ドライバーとパッセンジャーには常に快適な空間を提供し、オフロードからオンロードまで、さまざまなタイプの道を確実に走破できるようになっている。

 今回はオフロードでこのモデルの実力を試すチャンスはなかったが、オンロードでの走りは驚くほどに機敏で、そして快適なものだった。

 そもそもノイズや振動に対して有利な直列6気筒というエンジンを搭載したことで、これまでのV型6気筒仕様よりも、走りの高級感が増したことは紛れもない事実である。

 最初に触れたとおり、膨大なラインナップを持つランドローバーだが、このスポーツはそのなかでも新しさ、そして走りにおいては最も魅力的な一台といえるのではないだろうか。

それぞれに個性的で至高の1台だけに、ジャッジするのは難しい
それぞれに個性的で至高の1台だけに、ジャッジするのは難しい

●VAGUE編集部のジャッジ

 同じ400馬力で、直列6気筒のガソリンエンジンとBEVの2台を、車両価格が拮抗しているという理由で比較してみたが、甲乙つけがたい2台であった。ランドローバーとジャガー、どちらも独自の世界観を持つブランドだけに、両社のエッジな2台は各々、個性的であったからだ。

 つまり、どちらを選ぶかは、購入する人のライフスタイルによって決まる。

 もし、本格的なアウトドアを楽しんでいる人なら、迷わずガソリンエンジンのレンジローバー・スポーツがオススメだ。充電設備の心配をすることなく、キャンプ先を選ぶことができ、オフロードを分け入っていくことができる。

 しかし、新規感を求めるのなら、Iペイスを選んで間違いはないだろう。日常で使用するかぎり、その航続距離に不安なところはなく、レンジローバー・スポーツとの差額で十分に充電設備を自宅に設置することができる。

 さらに、ランニングコストを考えると、Iペイスのほうが賢い選択であることは明白だ。また、BEVにあったライフスタイルに自分を持っていくのも、クルマとの新しい付き合い方かもしれない。

●ジャガーIペイスHSE
・車両価格(消費税込):1183万円
・全長:4682mm
・全幅:2011mm
・全高:1565mm
・ホイールベース:2990mm
・車両重量:2208kg
・駆動方式:四輪駆動
・最高出力:400馬力
・最大トルク:696Nm
・0-100km/h:4.8秒
・最高速度:200km/h
・航続距離(WLTC):438km
・ラゲッジ容量:656-1453リッター
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)インテグラルリンク式
・ブレーキ:Φ350mmベンチレーテッド・ディスク、(後)Φ325mmベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)245/50R20、(後)245/50R20
・ホイール:(前)8.5Jx19、(後)8.5Jx19

●レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィー・ダイナミック
・車両価格(消費税込):1270万円
・全長:4855mm
・全幅:1985mm
・全高:1800mm
・ホイールベース:2920mm
・車両重量:2340kg
・エンジン形式:直列6気筒DOHCターボ
・排気量:2992cc
・エンジン配置:フロント縦置き
・駆動方式:四輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:400馬力/5000-6500rpm
・最大トルク:550Nm/2000-5000rpm
・0-100km/h:5.9秒
・最高速度:225km/h
・公称燃費(WLTC):8.9km/L
・ラゲッジ容量:780-1686リッター
・サスペンション:(前)ツインロワーリンク、(後)インテグラルリンク式
・ブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)275/45R21、(後)275/45R21

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