ホンダ新型「アコード」何が凄い? 北米より3年遅い登場の理由とは
日本未発売のホンダ新型「アコード」が東京モーターショー2019にて初披露されました。すでに北米市場では2017年に登場していますが、日本に導入される新型モデルは日本向けに大幅進化しているといいます。
2019年11月4日まで開催されている東京モーターショー2019のホンダブースには、まだ日本では発売されていない新型の「アコード」が展示されています。
現在、日本で販売されているアコードは9代目ですが、展示車両はフルモデルチェンジを経た10代目となります。新型アコードの進化について、開発をまとめた宮原哲也氏に尋ねてみました。
宮原氏は「パッケージングの進化」が新型アコードの大きなポイントだといいます。
たとえばトランクルーム。日本仕様に設定されるのは従来モデルと同様に新型モデルもハイブリッドのみですが、従来のハイブリッド車は後席の後ろに駆動用バッテリーを積む影響でガソリン車(日本では未設定)に比べて奥行きが狭くなっていました。
しかし新型では、駆動用バッテリー搭載場所を後席座面の下にしたことで、ガソリン車とまったく同じトランクの広さを得ており、容量は先代モデルに比べて149リットルも増えたというから驚きです。
バッテリー搭載位置の変更により、トランクスルーが使えるようになったことも注目すべき部分でしょう。
また、後席自体もより広くなり、たとえばレッグルームはなんと75mmも拡大。現行モデルでも十分すぎるほどの広さなのに、さらに増えているのだから快適に過ごせそうです。
一方で運転席は、「着座位置を低くして、よりスポーティな感覚に。その結果として車両の重心も下がっています」と宮原氏は話します。ちなみにプラットフォームは新規開発されたものを採用しました。
動的性能面ではハイブリッドシステムの制御も新しくなり、走行中に急にエンジン回転が上がったりせず「より自然でドライバーとの一体感が高めるフィーリングとした」(宮原氏)とのこと。
ハイブリッドシステムは従来のシステムをベースに熟成させた2モーター式で、フィットに続き「e:HEV」という名前が採用されます。
東京モーターショーに展示されている新型アコードは日本仕様そのものでしたが、日本仕様では、海外仕様とは異なる部分がいくつかあるといいます。そのひとつがフロントバンパーの形状。海外仕様に比べると下部の先端がやや尖っているのです。
「これは歩行者保護のためです。接触した歩行者を跳ね上げるようにボンネット上へ持ち上げ、ボンネットがつぶれてエネルギーを吸収することで歩行者へのダメージを軽減します」(宮原氏)とのことでした。
動的性能においては、サスペンションセッティングも日本専用です。宮原氏は、動的性能について次のように話します。
「たとえば北米仕様に装着するタイヤはオールシーズンタイヤ(M+S)なので構造がやわらかく、それを前提としてハンドリングを良好にするために少し硬めのサスペンション設定としています。
しかし日本仕様は剛性の高いタイヤを履くので、もっとしなやかに動いてスポーティだけど乗り心地もいい味付けです。ちなみに新型アコードは電子制御による減衰力可変式のダンパーを搭載しています」
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アコードは、ホンダを代表するグローバルモデルの1台で世界的に人気が高く、北米の同セグメントではトヨタ「カムリ」に次ぐ人気となり、2018年には29万1071台を販売しています。
同年の全米新車販売ランキングでは11位となるほか、中国でも新型モデルになって大幅に販売台数が伸び、2018年通年ではクラストップの販売台数を誇る人気車です。
日本に導入されるのはハイブリッド車のみで、2020年の2月に発売される予定とのことです。
北米では、2017年に発売されています。約3年遅れた理由には、日本向けにさまざまな部分を改良して、最良の日本仕様車を作りたいという開発陣の想いがあるのかもしれません。
筆者(工藤貴宏)は、実車を見て「美しいデザインと上品な雰囲気があるセダンで『インサイト』のお兄さん的な雰囲気」と感じました。
インサイトよりもさらに大きなセダンを求める人には最適な1台となるでしょう。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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