トヨタ「スープラ」TRD仕様に装着された新発想のサスペンション「TRAS」の出来に驚いた!
プリウス TRD「アグレッシブスタイル」の性能は見た目だけじゃなかった!
また、今回はスープラだけでなく、TRD仕様のプリウスにも試乗することができました。
エンジンもサスペンションもまったくのノーマルだというTRDプリウスの特徴は、纏っているエアロパーツです。
まずTRDのエアロパーツは、単なるドレスアップパーツではないところがポイント。その名の通り、実際の空力効果を得ることによって、プリウスの走りを最適化しているのです。
TRDには現在2種類のプリウス用エアロシステムがあり、今回試乗したのは「アグレッシブスタイル」。そしてこのほかには「エアロダイナミクススタイル」があります。
TRDがエアロパーツで定める性能は、「Response」「Stability」「Feedback」「Flat」「Dress up」の5項目。エアロダイナミクススタイルは、このすべての項目においてまんべんなく性能を発揮するキャラクターが与えられています。
対して試乗車であるアグレッシブスタイルは、ハンドリングレスポンス、フィードバック(操舵応答性)、そしてドレスアップ性能に特化したもの。つまり見た目のアグレッシブさと、空力によるハンドリング性能の向上がその狙いです。
実際にTRDプリウス「アグレッシブススタイル」をドライブした印象は、非常に興味深いものでした。
足回りはすべてノーマルなので、低速域での乗り心地はいたって快適。そして速度を乗せて行くと、足回りがソフトなのにじわっと安定感が増して行く感覚がハンドルから得られるのです。
筆者(山田弘樹)はこれをショートコースでも走らせたのですが、そのコーナリングは確かに良く曲がる印象でした。
空力というとダウンフォースばかりが注目されがちですが、TRDは市販車にこれを応用するうえで、空力バランスを整えることと、ロール時の安定性を高めることにも活用しています。
だからコーナリング時には、まるでダンパー減衰力を少し高めたような、質の良いスタビライザーを装着したようなフィーリングが得られるのだと思います。
そのうえでフロントスポイラーなどでタイヤの接地性を高め、曲がりやすさを実現しているのだと思います。実際資料では、エアロダイナミクススタイルの前後空力バランスは54.0%:46.0%。市販車は主にリアのスタビリティを確保する傾向にありますが、むしろフロントよりに空力バランスを設定していました。
またTRDプリウスの各部には、かつて話題をさらった「アルミテープ」も貼り付けられていたようです。
これによって車体の+帯電を除去することができ、空気の反発を抑制。清流効果を高めることができるそうです。
今回はこれを装着した車輌のみだったため、効果の違いを精査することはできませんでしたが、総じてTRDプリウスは、ノーマルの快適な乗り心地を保持しながら、プリウスに気持ち良いスポーツ性能を与えた一台になっていました。
Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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