人気はあったのに発売中止!?  市販されずお蔵入りした幻のクルマ3選

市販化目前だったのに景気悪化などで断念された悲劇のモデル

●日産「シルビア ロータリー」

 ロータリーエンジン(以下、ロータリー)というとマツダが世界で初めて量産化に成功し、これまでに数々のロータリー搭載車を販売してきたのは、周知の事実です。

オイルショックがなければ実現していただろう「シルビア ロータリー」(画像は市販したシルビア)
オイルショックがなければ実現していただろう「シルビア ロータリー」(画像は市販したシルビア)

 しかし、かつて国内外の複数メーカーが、ロータリーの量産を目論んでいた時代があります。なかでも日産は2代目「シルビア」に搭載予定で、発売目前まで開発が進んでいました。

 1972年の東京モーターショーの日産ブースに、当時販売していた2代目「サニー」にロータリーを搭載したコンセプトカーが展示され、ロータリーの開発が進んでいることをアピール。

 このサニーは走行テストが繰り返され、当時の自動車雑誌に向け試乗用に貸し出すなど高い完成度を誇っていました。

 しかし、1973年の中東戦争に端を発したオイルショックを受け、日産は省燃費ではないロータリーの開発を凍結。

 シルビアはオーソドックスな4気筒のレシプロエンジンを搭載して発売され、その後、日産によるロータリーの開発は復活することはありませんでした。

●日産「MID4/MID4 II」

 日産「MID4(ミッド・フォー)」は、研究開発の成果をモーターショーの場で発表することも目的とした実験車両で、1985年に発表されました。車名はエンジンをミッドシップに搭載した4WDのスポーツカーを意味しています。

 このMID4の発表から2年後、1987年の東京モーターショーに、より市販化を意識して進化した「MID4 II」を出展。

 エンジンは最高出力330馬力のV型6気筒DOHCツインターボの「VG30DETT型」を縦置きに搭載し、サスペンションはフロントにダブルウイッシュボーン式、リアには操舵機構「HICAS(ハイキャス)」付きのマルチリンク式を採用していました。

 内外装の仕上がりはいつ市販化されてもおかしくないほどのクオリティで、実際に市販化に向けた検討が行われていましたが、実現には莫大な開発費用と工数が必要だった(1987年当時、好景気ながら日産の財務状況は悪化)ことから、結局、MID4の市販化を断念する経営判断が下されます。

 ファンの期待に反して市販には至らなかったものの、MID4の開発で確立した技術の多くは、1989年に発売された4代目「フェアレディZ」や「スカイラインGT-R」などで活かされました。

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