ハイブリッド人気の日本になぜディーゼル投入相次ぐ? 欧州メーカーの狙いとは

国内メーカーではマツダ・三菱の2強?

 一方で、欧州車メーカーのほとんどが、これまで日本と違ってハイブリッドに消極的でした。最近になって盛んに「電動化に力を入れる」といっていても、それは「これから」という話です。

 実情としては、ようやくいくつかのアイテムが揃い出したばかり。一方で、省燃費性能や高性能化を求める声への対応は喫緊の課題。そのような状況であれば、手元にある高性能なディーゼルエンジンを利用するのは当たり前といえます。

 実際に、日本でディーゼルモデルを販売するプジョージャポンは、次のように話します。

「ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの両方を併売するモデルでいえば、だいたい販売比率は6:4くらいですね。ディーゼルモデルはパフォーマンスの良さや経済性の良さで人気があるようです」(プジョージャポン)

プジョー新型「508」の最上級グレードには2リッターのディーゼルターボ仕様が設定される

 欧州車メーカーの用意するディーゼルエンジンの良さを日本国内のユーザーも認めているということ。実際に売れるというのであれば、欧州車メーカーがディーゼルモデルを日本に積極的に導入するのも当然といえます。

 また、日本におけるディーゼルエンジンへの排気ガス規制は、世界でもトップクラスに厳しく、欧州で走っていたそのものではダメで、日本への特別な対策が必要です。

 最近になって、国内市場にディーゼルモデルの投入が相次ぐ理由には、規制への対応に時間が掛かったと予想できます。前々から日本には、ディーゼルエンジンを導入したかったが時間がかかってしまい、その間に欧州で『電動化への傾注』が進んでしまったというのが実態ではないでしょうか。

 一方、国内メーカーにおいて、ディーゼルを熱心に研究してきたのはマツダと三菱だけです。トヨタは、ハイブリッドが古くからのお家芸、ホンダと日産は以前から電動化に熱心で、スバルもディーゼルをやめてしまった過去があります。

 そのため日本勢からは、あまりディーゼルエンジンの話題が出ることは少ないのです。それも、欧州車メーカーによるディーゼルモデル導入が目立ってしまう理由のひとつといえるのです。

 今後は、電動化が年を追うごとに加速してゆくことは間違いありません。しかし、完全に電気自動車だけの時代になるのは、もうしばらく時間がかかります。

 数年で、すべてが変化することはありえず、下手をすると数十年単位の時間が過ぎるかもしれません。そこまでは、ハイブリッドの時代であり、エンジンはずっと必要ということを意味するのです。

 特性の異なるガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは、それぞれの特性に合わせて異なる使い方がされます。結果として、ガソリンエンジンもディーゼルエンジンも、研究開発が進んでいき、『エンジンの時代』は当分終わらないといえます。
 
【了】

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