そんな時代もあったね? バブルの象徴的存在「国産高級セダン」5選
現在まで販売が続くロングセラーも
●トヨタ初代「セルシオ」XF10型(1989年-1994年)
トヨタ「セルシオ」は、1989年に登場したオーナードライバー向けの高級車です。オーナー自身は運転しないことが前提だった「センチュリー」と「クラウン」の中間に位置するクルマです。
アメリカ市場を主要マーケットとして立ち上げた高級車ブランド「レクサス」の「LS」としても販売し、日産「シーマ」に対抗して「クラウン」では満足できないユーザーを獲得しました。
「クラウン」の4リッターエンジン車と同様に260psを発揮する4リッターV型8気筒DOHCエンジンを搭載し、全長4995mm×全幅1830mm×全高1410mmのボディーサイズ。驚くべきはその静音性で、高速道路を走行しても静かさゆえに速さを感じないほどです。
2代目、3代目とモデルチェンジを行い、日本国内でのレクサスブランドの参入にともない、4代目からは「レクサス LS」として販売されています。
●ホンダ初代「レジェンド」KA1/2/3/4/5/6型 (1985年-1990年)
ホンダ初の3ナンバー登録車となったフラッグシップカーである「レジェンド」は、アメリカ市場を主要マーケットとして立ち上げた高級車ブランド「Acura(アキュラ)」の車種として1985年にデビューしました。
「高級車」の開発経験がなかったホンダがイギリスの「ブリティッシュ・レイランド」社と共同開発したモデルで、当初は4ドアセダンのみでしたが、1987年に2.7リッターエンジンを搭載。ボディーサイズは全長4775mm×全幅1745mm×全高1370mmです。
高級車であることを演出する天童木工製「本木目パネル」の使用についてもブリティッシュ・レイランドの指導を受け、トップグレードには100%ウールモケットシートを装備するなど、内外装ともにヨーロッパの品のいい上級4ドアセダンのように仕上がりを見せています。
「レジェンド」は、日本初となった運転席用SRSエアバッグの搭載やサイドドアビームなど、安全装備の面でも充実しました。
2015年に登場した5代目となる現在の「レジェンド」は、システム最高出力382psを誇る3.5リッターV型6気筒直噴i-VTECエンジンと3モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」を搭載し、高級車としての道を歩み続けています。
●トヨタ初代「アリスト」 JZS14x型(1991年 – 1997年)
1991年、「クラウン」のモデルチェンジ時に登場した上位車「クラウン マジェスタ」と同時に「アリスト」がデビューします。
「クラウン マジェスタ」と「アリスト」はシャーシが共通ながら、「クラウン マジェスタ」は3リッター直列6気筒DOHCエンジンと4リッターV型8気筒DOHCエンジンを搭載した、日本人の価値観における「高級車」だったのです。
対して、「アリスト」は当時のトヨタ最速マシンだった「スープラ」と同じ280psを発揮する3リッター直列6気筒DOHCツインターボエンジン搭載グレードを用意。「アリスト」は国産最速セダンの名をほしいままにし、昭和の終わりから続いていた日産「シーマ」の人気を奪いました。
1993年からはトヨタの高級車ブランド「レクサス」からも米国市場向けに「GS300」として登場、1997年に発売された2代目「アリスト」の米国版向けでV型8気筒エンジンを搭載する「GS400」がアメリカでレクサスの人気を不動のものにしていきます。2005年からは、国内でも「レクサス GS」として現在に至っています。
近年、セダンの人気が落ちているといわれていますが、最近の調査では今回紹介した当時の高級セダンモデルの中古車に、若年層の注目が集まっているなど、いまなお心奪われるなにかがあるのかも知れません。
【了】