話題の新型「マツダ3」や「CX-30」にも採用? 波に乗るマツダの最新技術とは

相次いで新型モデルを発表するマツダ。アクセラの後継モデルとなる「マツダ3」や新型SUV「CX-30」など、話題のクルマが続々と登場しています。波に乗るマツダの最新技術とはどんなものなのでしょうか。

マツダの4WD技術「i-ACTIV AWD」の進化

 最新世代を担う「マツダ3」と、これをベースとしたスタイリッシュなコンパクトなSUV「CX-30」を連続的に発表して波に乗るマツダ。今回は、その中身を支える最新の制御技術を、雪上で体験してきました。

マツダの最新4WD技術「i-ACTIVE AWD」を体感する様子

 まず、マツダの4WD技術「i-ACTIVE AWD」の進化については、緊急回避テストにも用いられるダブルレーンチェンジテストと8の字旋回で違いを体験。世間的に、マツダはあまり4WDのイメージが強くないメーカーですが、その制御技術はかなり進んでおり、彼らとしてもこれを広く伝えることに大きな熱意を持っています。

 今回、「マツダ3」 AWD車の完成が間に合わず、開発車輌の「CX-3」に新旧システムをインストールしてまでその違いを体感させてくれようとしたことでも、その様子が強くうかがえました。

 マツダのAWDは、前輪駆動車をベースとしており、その安定性を高めるべく常時リアタイヤにも微少なトルクをかけ続けています。

 しかし、基本はオンデマンド式に近い制御であり、これまでは前輪のスリップや駆動ロスに応じて後輪がトルクを増やす方式を採って来ました。

 新世代の「i-ACTIVE AWD」ではその制御をさらに一歩推し進め、路面を選ばない自然な運転感覚を実現するために、AWDのトルク配分を有効活用してきたのです。

 たとえば、一定走行していた状況から減速を開始すると、それまで後輪に送られていたトルクはスムーズかつ連続的にフロントへ移行します。これはリア荷重が少ないFWDベースの4WDで、後輪にトルクが残りすぎると車輌姿勢が不安定になりやすいからです。

 コーナリングでは、姿勢安定に相応しい前後トルク配分を常にバランスさせ、脱出加速ではアクセルオンと同時に後輪へとトルクを大きく移して行きます。現状は、前後トルクが50:50以上になることはないようですが、システム的には後輪駆動のみとすることも可能。こうした自由度をもって今後さらなるスポーティな領域へと発展して行く可能性があるといいます。

 これまでマツダは、FFベースのAWDを制御する際、専用のコントローラーを用いて後輪へのトルク配分を行っていました。しかし、新型ではこの機能をECU(エンジンコントロールユニット)の中に統合。これによって、エンジンや車輌姿勢の制御と統合してAWDへ制御信号を送ることができるようになり、トータルな運動バランス制御が可能となりました。

 また、制御ハーネスを減らすことは、コストと重量の低減にも貢献。さらに機能面ではAWD用トランスファーにラバーダンパーを追加して、これまで振動を打ち消すためにかけていた微少なトルクが必要なくなり、燃費面でも少し有利になりました。

 実際の比較試乗では、一般的な速度を想定として、まずは約50km/hで走行します。旧型も最初にハンドルを切ったときの曲がりやすさはかなりのもの。しかし曲がり始めてから後輪が滑り出すと、この動きを止めるために車両安定制御がかなり早めから強く効きだします。

 「そして、レーン回復のためにハンドルを切り返すと、その勢いでテールがさらに滑る感覚が出てきますが、最終的にはこの動きをもDSC(横滑り防止装置)で止めてくれるため、従来型でも安全に走ることができました。

 また、低μ路(ツルツル路面)の運転に慣れたドライバーであれば、この滑りを予兆してハンドルを戻して行ける素直な特性です。

 しかし新AWDの制御は、この一連の過程が輪を掛けて自然です。ターンインでの素直さは両者互角ですが、曲がり始めてからの安定感がさらに高く、アクセルに対する後輪トルクの追従性が良いので、DSCの介入頻度がとても少なくなります。」

 さらに、ハンドルを切り返したときの操舵感が鮮明で、なおかつこの方向転換のGに対してクルマが滑らずピタッと収まりました。よって元のレーンに回復する動きでも、ヨーモーメントを増幅することなく普通に復帰することができるのです。

新型「マツダ3」の雪上試乗会の様子を画像で見る(10枚)

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