東京湾の真ん中に「滑り台」? アクアライン、RPG並みのダンジョン探検ができるスポットだった!
探検ルートにある「3本目のトンネル」とは
アクアラインは、神奈川県川崎市から千葉県木更津市を繋げており、木更津と川崎を2本のトンネルが並行する形で構造されています。
実は、このトンネルには「3本目」が存在。上り線トンネル(海ほたるから川崎)、下り線トンネル(川崎から海ほたる)。そして3本目のトンネルは、2本のトンネルと同様で、道路幅も16.5mと他の2本のトンネルと同じです。
入口手前は、混雑時に開放される臨時駐車場になっており、ふだんは白いフェンスが置かれて立ち入りが禁止されていますがツアーではここから中に入ります。
照明がないので薄暗い道をしばらく歩くのですが、奥は真っ暗で異界への入り口のような雰囲気。探検ムードが高まります。
しかし、このトンネル、実際には300m程度しかなく、その先は「未開の地」。将来、交通量が大幅に増えた際など、増設に対応する予備のトンネルとして作られたそうです。川崎市と海ほたるの間にある換気塔「風の塔」とも接続可能な構造で、アクアブリッジにも車線がつぎ足せる構造になっています。
第3のトンネル奥には、海ほたる地下にある避難通路に通じる道があります。ここからが本格的な探検の始まりです。いくつもの小さなドアをくぐって奥へ奥へと進み、避難通路に入ります。
アクアラインで火災などが発生し、避難が必要になるとトンネル内300m置きに設置された「非常口」からクルマを置いて、人だけが外に出て『すべり台』を使って地下に降りてきます。
すべり台が、カーブしているのはスピードが出過ぎで着地の時に衝撃を受けないよう、という配慮だそうです。避難用のすべり台ともう一つ、別のスロープは救急隊員が救出に向かうためのスロープなので、こちらは滑り止め加工がされています。
開通から21年で、現在のところ、消防活動などでこの「すべり台」を使った人はいないそうです。めったに使う事がないすべり台ですが、常に安全に使えるようメンテナンスされています。
東京湾に鎮座するアクアライン。実は、RPGゲーム並みのダンジョン探検ができるスポットだったのです。
【了】
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。