中国流カスタムが凄い! 旧型丸っと新型風に そんな中国はカスタムカーに厳しい?

日本ブランドのカスタムパーツは大人気!

 さて、中国にも東京オートサロンに似た「チャイナオートサロン」(CAS)という催しがあります。2011年に第一回が開催されたイベントですが、年々、その開催規模が大きくなり、2018年はついに上海モーターショーと同じ、広い会場「国家展覧中心」で開催されました。このCASにたびたび出展し、中国にも販売拠点を持つボルボ専門のチューナーERSTの奥田功明代表に中国のカスタムカー事情について聞いてみました。

中国オートサロン会場のERSTブース(写真提供:ERST)

――中国ではどんなカスタムが人気ですか?

 弊社のお客さんはチューニングが大多数ですね。中国ではとにかくボルボ車が非常によく売れていますが「人より速くしたい」という要望がダントツに多いです。日本もかつてそんな時代がありましたよね。アルミを変えたり、エアロパーツをつけたりという人はまだ少数派で、多くは『ホイールは鉄ホイールでもエンジンをチューニングして、ブレーキを強化したものに替えたい』という感じです。また、日本ブランドのパーツは総じて人気が高いです。品質が高く、なじみ深いというのも理由でしょう。

――日本とは違う中国特有のカスタム事情はありますか?

 中国は道路環境が日本ほどよくありません。それで日本のように車高を落とした車は走りにくいため、人気がありません。ボルボ車の場合、アルミホイールのインチアップはせいぜい19インチまで。あと、新製品を出すとソッコーでコピー商品が世に出てきます(苦笑)。日本製のカスタムパーツは人気が高く、エアロパーツなどはとくにすぐコピーされてしまいます。中国にはまだエアロパーツをゼロからデザインする技術はあまりないのでしょうね。

 そして、中国のユーザーさんは「欲しい!」と思ったらすぐ欲しいんです。ですので、中国には他の国よりも在庫を多数置くようにしています。そうしないと、似たようなコピー商品を買われてしまいます。余談ですが、コピー商品の品質も実はピンキリで中にはびっくりするほど良いものもあります。そんなこともあり、なるべくコピーするのが難しいコンピューターチューニングなどの部品を開発するようにしています。

中国の若者に人気の日本のカスタムブランドは?

 年々、開催規模も来場者数も拡大している東京オートサロンですが、同じく拡大しているのが海外からの来場者です。とくに今年は、「東京オートサロンを見に来ました」という中国の若者たちに多数遭遇しました。そんな彼ら20名くらいに話を聞いてみると、名前があがったのはチャイナオートサロンにも出展している「エンドレス」や「TEIN」などのパーツメーカーから、海外でも有名な「リバティウォーク」や「ロケットバニー」などです。

 また、ブランドだけではなくカスタムカーデザイナーのことも良く知っており、TRA京都のカリスマデザイナー三浦慶氏や、カスタムペインターとして世界的に有名なROHAN井澤孝彦氏への憧れと尊敬の気持ちも深いものを感じました。

 日本のカスタムカーについて学びたいという中国の若者たちの中には、日本に「留学」してくるケースも少なくありません。

 ゼロからエアロパーツをデザインしたり、エンジンチューニングを施したりという技術は一朝一夕で身につくものではありません。しかし、外国資本が入らない中国の自動車メーカーが作るクルマも近年は急速な勢いで進化しており、なかには日本車やドイツ車に負けない衝突安全性能を持つクルマも出てきています。カスタムカーの世界にも中国オリジナルが出てくる日もそう遠い未来ではないのかもしれません。

【了】

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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