ホンダ「PCX ELECTRIC」 100%電気で走行する原付2種スクーターとは?

「PCX ELECTRIC」は若者に向けに開発された電気スクーターだった

 走行の準備はメインスイッチで電源を入れ、スターターボタンを押せばOK。あとはスロットルをひねれば、いつでも力強いダッシュが得られます。感覚的には、40km/hあたりまでの加速は125ccのPCXを上回り、それ以降の伸びはバッテリーをセーブするためか、パワーカーブがなだらかに下降していく。そんな印象で、いずれにしても充分な動力性能を発揮。車重もエンジンに対して14kgアップしたに過ぎず(130kg→144kg)、走り出してしまえばもちろん、取り回しの時も重さが気になることはありませんでした。むしろ長くなったホイールベースがプラスに働き、落ち着いたハンドリングを見せてくれたのです。

ホイールベースが伸ばされたことで落ち着いたハンドリングを手にいれた

 唯一気になったのは、静かさにこだわったためか、ウインカーの作動音も消音されていたことです。そのため、本当に点灯しているのかどうかをつい目視で確認してしまうことがありました。その点を三ツ川さんはこう説明します。

「法令上の制約はないため、作動音の有無や大小はモデルのキャラクターに合わせて設定しています。弊社の場合、若い世代にもアピールしたい時は音が小さくなる傾向がありますね。というのも、たとえば通学で原付に乗る高校生にとって“カッチンカッチン”という音はダサく感じるようです。とくに男の子の場合、ママチャリに乗るのがカッコ悪いと感じ始める年頃ってあるでしょう? ウインカーの音にもそれと似た気恥ずかしさがあるらしく、逆にベテランや年配ほど作動音を望まれます。いや、実際に調べたから本当なんですよ」

 というわけで、思わぬところでオッサンの認定を受けたわけですがそれはさておき。「PCX ELECTRIC」は当面の間、法人や官公庁、個人事業主向けのリースを中心に展開され、一部を一般ユーザーに貸し出すことによって広くデータが集められるとのことです。

PCX ELECTRICは、法人や官公庁、個人事業主向けリースを中心に展開

 2022年に施行予定だった原付の第4次エミッションが2025年に延長されることが発表されましたが、いずれにしてもその近辺で動力源の行く末を占う大きな転換期を迎えることになるでしょう。このタイミングで登場した「PCX ELECTRIC」はそこに向けた第一弾であり、電動バイクの普及に向けて確固たる土台を築いていくはずです。

【了】

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