謎に包まれたBMW製プロトタイプエンジンが登場 同メーカー初となる個人ショップ製作のカスタムバイクに搭載

BMW Motorradの水平対向エンジンは、1932年に登場した“R32”で初採用されて以来、熟成が重ねられてきた伝統あるパワーユニットです。今回、その新型と噂されるプロトタイプエンジンがカスタムショーで発表されました。

BMW初の試みで実現した“プロトタイプエンジン”搭載のカスタムバイク

 BMW Motorrad(以下:BMW)は、2018年12月2日にパシフィコ横浜で開催されたヨコハマ“ホットロッドショー2018”で、同メーカーのプロトタイプエンジンを搭載したカスタムバイク「Departed」(日本語訳で“出発”の意味)を初披露しました。

BMWのプロトタイプエンジンを搭載したカスタムバイク「Departed」(写真:CHOPPER Journal)

 BMWはこのエンジンについて詳細を発表する予定はないといいますが、左右に広がるシリンダーの上部に、バルブとカムを繋ぐ“プッシュロッド” のカバーらしきものが確認できるため、ハーレー・ダビッドソンなどでも採用されているエンジン構造“OHV”(バルブ機構をシリンダーヘッド上に備える)が採用されている可能性もあります。

 この1台は海外のカスタムショーにも招待された経歴を持つカスタムバイク・ショップ “カスタムワークスZON(ゾン)”が手掛けたもので、BMW初となる“プロトタイプエンジンのみを個人ショップに供給し、コンセプトバイクを製作する”という試みが行われています。

プッシュロッドらしき存在が確認できるBMWのプロトタイプエンジン

 今回、BMWが同ショップに作業を依頼した理由は様々ありますが、世界的にみても高い品質を生み出す技術力と、国内外で高く評価されている独創的なデザイン・センスが一番の決め手です。

 製作を担当した吉澤雄一氏と植田良和氏は2018年の5月にミュンヘンで初めてこのエンジンを確認、7月末から車体の製作に取り掛かりましたが、今回のプロジェクトを終えた感想を以下のように語ります。

「BMW本社の開発部に呼ばれて、ドイツで初めてこのエンジンを見た時にはその大きさに驚きましたが、それを踏まえた上で車体のデザイン構成、各部の強度などを考えました。

 全体的なスタイルは、これまでに私たちが手掛けてきたカスタムバイクの要素を取り入れたもので、タイヤなどを除くほとんどの車体構成パーツや、エンジンのカバー類を現物に合わせてワンオフ(一点ものを作る)することで個性的な雰囲気としています。

この一台を製作した“カスタムワークスZON(ゾン)”吉澤雄一氏(右)と植田良和氏(左)(写真:CHOPPER Journal)

 まったく素性の分からないエンジンでカスタムバイクを製作したのは初めてですが、満足のいくカタチに仕上げられたと思います。

 また、本国の開発の方々は、もう数回ほど同様のプロジェクトを行う予定と話していましたが、実際に市販される場合にはどのようなモデルにこのエンジンが搭載されるか気になるところです。」

※ ※ ※

 カスタムバイク「Departed」は、鉄のパイプから作られたフレームに、アルミの塊から削り出されたフロント21/リア26インチのホイールや、アルミ製フロントフォーク、アルミの板から叩き出した外装パーツを備えることで、BMWの期待に応える他に類を見ない独創的な姿を実現。

 職人技の光るハンドメイド・パーツで構成された車両ならではの魅力が、このカスタムバイクには込められています。
 
【了】

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Writer: 渡辺まこと

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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