ホンダのハイブリッドは燃費がいいのか? 「ヴェゼル」と日産「新型キックス」の性能はどう違う? “直結駆動”を持つ「e:HEV」の特徴は?
ホンダ「ヴェゼル」のハイブリッド「e:HEV」は、ライバルと何が違うのでしょうか。日産「新型キックス」との実燃費比較を交えながら、その仕組みや特徴を解説します。
ホンダのハイブリッド「e:HEV」は本当に優秀なのか?
「日光いろは坂でホンダのハイブリッド車が“エンコ”してた」というネタは自動車業界における紅葉シーズンの風物詩となっている。実際、いろは坂が渋滞すると、必ずといって良いほど止まっているホンダ車を見かけます。
一世代前のホンダ車に搭載されるツインクラッチ式ワンモーターハイブリッド(「i-DCD(インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ)」)は、登り坂で発進停止を繰り返したり、坂道で停車する際にブレーキを踏まず、アクセル操作だけで後退しないようにし続けたりすると、止まってしまうのだ。
閑話休題。では、現在のホンダのハイブリッドはどうか? 今回は「ヴェゼル e:HEV」を取り上げ、トヨタや日産のハイブリッドとの違いも含めて紹介してみたい。
先日、日産の新型「キックス」やトヨタ「カローラクロス」と同じ条件で燃費テストを行った際、ヴェゼルも改めてデータを取ったので、その結果を見ていこう。
ちなみにヴェゼルは2026年10月22日にマイナーチェンジが発表され、翌23日に発売されたものの、ハイブリッドを含むパワーユニットの変更はなし。現在販売しているヴェゼルと全く同じなので参考にして頂ければと思う。

まず基本的な概念だけれど、ホンダのハイブリッドシステム「e:HEV」は、日産の「e-POWER」と同じで、エンジンの横に発電機を置く。駆動はモーターである。搭載されている大容量電池(1.1kWhのリチウム電池)からの電力でモーターを稼働させ発進。通常の加速ならタイヤが2転がりしたくらいでエンジン始動し発電した電気を使い始める。
巡航時はエンジン由来の電気でモーターを駆動させる。ここまでは日産e-POWERと何ら変わらない。
最大にして唯一の違いは、エンジンから駆動輪へのダイレクトな駆動モードを持つことにある。エンジン+発電機と駆動モーターは隣り合わせに搭載されているため、巡航時はオンオフしかできないクラッチを使い、直結にするのだった。
エネルギーの伝達効率でいえば、エンジンの出力をほぼ100%駆動に使える。変速ギアを介すマニュアルミッションより効率良いほど。ただ直結できる条件は限られます。
その条件とは、私(国沢光宏)の感覚だと70~110km/h程度の速度域であり、かつアクセル開度が少ない時。高速道路で90km/hにクルーズコントロールをセットしておけば常時直結状態になっていると思っていいだろう。
それ以外の速度域は、エンジン効率、発電機効率、インバーター効率、モーター効率と少しずつロスが出るため、直結駆動よりエネルギーの伝達効率で不利になる。
日産e-POWERは直結モードがないためホンダ式より燃費が悪かったものの、新型キックスからエンジンの熱効率を大幅に向上させてきた。燃費データを見て頂ければわかるように、新型キックスとヴェゼルを比べると、新世代の日産e-POWERが大健闘している。
ホンダも次世代エンジンを開発中らしいので、2028年登場といわれている次期型ヴェゼルは大幅に燃費を伸ばしてくることだろう。
燃費比較(同時に走った時の実燃費でいずれも4WD車)の走行条件は、郊外モード想定ならヴェゼルが22.3km/L、新型キックスが22.4km/Lと互角。熱効率で届かないエンジンながら、直結モードが多かったためだと思う。
120km/hの高速モードではヴェゼルが14.3km/L、新型キックスが16.2km/Lと大きく引き離された。アクセル開度が大きかったので直結モードをほとんど使えず、日産e-POWERと同じ駆動モードになったからだ。エンジンの熱効率の差がそのまま出た。
市街地モードも直結でカバーしており、実燃費はヴェゼルが21.9km/L、新型キックスが22.5km/Lと、ほぼ互角だった。
ということで丁寧なアクセル操作をしていれば、ヴェゼルは新型キックスと同等の燃費を出せると考えていいだろう。走り出した直後から全域で直結モードのあるトヨタ式にこそ届かないものの、前述の通り、ホンダも次世代エンジンを搭載するようになれば状況は変わってくるかもしれない。
もうひとつ、ヴェゼルが新型キックスに負けているのは走行用電池の容量。新型キックスは1.47kWhもあり、1.1kWhのヴェゼルを大きく凌ぐ。「カローラクロス」は0.85kWhで最も少ない。
ハイブリッド車の場合、追い越し加速などでアクセルを大きく開けた直後の加速や、ドライバビリティは走行用電池の容量で決まると思っていい。だからこそ日産e-POWERはトヨタやホンダのハイブリッドよりレスポンスが良いと評価される。
元気よく走りたい人だと気になる点だと思う。普通に走っている分にはあまり関係ないことですが。
※ ※ ※
最後に、いろは坂でエンコする一世代前のホンダハイブリッドは、発進をマニュアル車と同じ構造のクラッチを使って行っている。
発電機&モーターは兼用が一つ。登り坂続きで電池残量が減っても発電できないため、走行用電池が減る一方で発進時にモーターアシストもできない。
結果、モーターアシストなし。クラッチの温度が上昇し、壊れる前にセーブモードに入って動けなくなるという寸法です。













































