ハンドルの「すえ切り」なんでダメ? “何気ない操作”がクルマの寿命を縮める!? 愛車を長持ちさせるためやってはいけない“NG行為”とは!
ハンドルの「すえ切り」はクルマの足回りに負担をかけ、寿命を縮める原因になると言いますが、本当でしょうか?愛車を長持ちさせるための正しい駐車の作法と注意点を解説します。
ハンドルの「すえ切り」なんでダメ?
紅葉狩りや秋のレジャーで遠出する機会が増え、全国の観光地や高速道路が賑わいを見せる2026年11月。
普段走り慣れていない旅先の狭いコインパーキングや、住宅街のクランクなどで駐車や切り返しを行う際、クルマが完全に停止した状態のままステアリングを力任せに左右いっぱいに回してしまった経験を持つドライバーは少なくないはずです。
いわゆる「据え切り(すえ切り)」と呼ばれるこの運転動作は、日常のドライブシーンで無意識に行われがちですが、クルマの足回りやタイヤに深刻なダメージを与える行為として古くから注意が促されてきました。
パワーステアリングが当たり前となり、指先ひとつで軽く転舵できる現代のクルマにおいても、据え切りは本当に避けるべきNG操作なのでしょうか。

据え切りがクルマに及ぼす弊害として、まず直撃するのがタイヤのトレッド面に対する過酷な局所摩擦です。
クルマが前後にわずかでも転動していれば、タイヤと路面の間に生じる摩擦抵抗は外周全体へ均等に分散されます。
ところが、車体が静止した状態でタイヤだけを無理やり路面上でひねり回すと、接地しているごくわずかな接地面だけに猛烈な摩擦熱と剪断力が集中します。
とくに車重が1.5トンから2トン近くに達する近年の大型ミニバンやSUV、幅広の大径タイヤを履く車両ではその負荷は凄まじく、ゴムの表面を削り取って偏摩耗を早めるばかりか、アスファルトやコンクリートの路面に消しゴムのような黒いタイヤ痕を焼き付ける原因となります。
さらに見逃せないのが、ステアリング機構やサスペンションを構成する金属部品への過大な機械的ストレスです。
静止状態のタイヤをこじ開けるように動かすため、車輪の向きを変えるタイロッドやステアリングラック、足回りを支えるアーム類の接合部であるブッシュやボールジョイントに強いねじれ応力が加わり続けます。
現代の主流である電動パワーステアリング(EPS)は非常に優秀ですが、停車中の連続的な転舵はアシストモーターや制御基板に急激な電気的・熱的負荷を集中させ、過熱防止のセーフティ機能によるアシスト力の低下を招くケースすらあります。
かつて重いマニュアルステアリング車を運転していた時代には「動かしながら切る」のが物理的な必須事項でしたが、クルマが高性能化した現在であっても、摩擦と応力の集中という物理法則そのものは何ら変わりません。
教習所で「クルマをわずかに動かしながらハンドルを切る」と指導される背景には、周囲の安全確認を促す目的だけでなく、愛車を無駄な摩耗や故障から守るための理にかなったメカニズムの保護思想が存在しています。
狭小スペースでの駐車など、どうしても据え切りを避けられない瞬間はありますが、ブレーキペダルをわずかに緩めてクリープ現象でタイヤをミリ単位でも転がしながら舵を切るだけで、足回りやタイヤにかかる負担は劇的に分散されます。
愛車の寿命を延ばし、余計なタイヤ交換費用を抑えるためにも、停車中の安易なステアリング操作を卒業し、クルマを労わるスマートな転舵を習慣づけたいところです。

























