三菱「パジェロ」7年ぶりに新型登場! 実は当初「復活」が目的じゃなかった!? 開発陣が明かす新型「本格クロカンSUV」誕生の舞台裏とは?
7年ぶりに復活した三菱「パジェロ」。実は当初、パジェロとしての開発は想定されていなかったといいます。新型誕生の意外な経緯や開発で重視したポイントについて、開発陣に話を聞きました。
当初は「パジェロ復活」が目的じゃなかった!?
2019年の国内向け生産終了から7年ぶりに復活する三菱「パジェロ」。新型は三菱自動車を象徴するフラッグシップSUVとして登場しましたが、当初からパジェロの名を冠することが決まっていたわけではないといいます。
どのような経緯でパジェロの復活が決まり、5代目となる新型は何を目指して開発されたのでしょうか。開発者に話を聞きました。
新型パジェロの企画は、当初「需要が高まっているタフなSUV市場に三菱自動車も参入する」という構想からスタートしたそうです。この段階では、パジェロという車名を使うことは決まっていませんでした。
近年はトヨタ「ランドクルーザー」シリーズやスズキ「ジムニー」をはじめ、本格的な悪路走破性を備えたSUVが人気を集めています。

海外市場でも、歴史あるブランドに加えて新たなメーカーからタフなSUVが投入されるなど、注目度の高いジャンルとなっています。
そうした市場に、三菱自動車らしさをアピールできる新たなモデルを投入しようという考えから、開発の検討が始まったといいます。
三菱自動車が培ってきた4WD技術を活かしたSUVを開発する方針が固まり、性能目標や商品としての方向性が具体化されていきました。
興味深いのは、この段階でもパジェロという車名は決まっていなかったにもかかわらず、各部署から寄せられた提案の多くが、パジェロを意識したものだったことです。
「三菱自動車がタフなSUVを作るなら、やはりパジェロだろう」という思いが、名前を口にせずとも社員の間で共有されていたようです。
こうした状況を受けて、商品企画部門がパジェロの車名を使う方針を固め、経営陣の承認を得たことで、正式に5代目パジェロとして開発が進められることになりました。
ただし、パジェロに対する思いが強いからこその難しさもありました。
社員それぞれに「パジェロとはこういうクルマだ」というイメージがあり、その考え方も少しずつ異なっていたのです。さまざまな意見をまとめ、共通の方向性を見いだすことにも苦労したといいます。
そうした議論のなかでたどり着いたのが、「あらゆる道を快適に走れること」という考え方でした。
1982年に登場した初代パジェロは、本格的なクロスカントリー4WDとしての優れた悪路走破性を備えながら、舗装路でも乗用車のような快適性を実現したモデルでした。
オフロードとオンロードのどちらも快適に走れるオールラウンドな性能こそ、歴代パジェロが受け継いできた特徴です。新型でもこの考え方を基本に据え、開発の方向性が定められました。
そして、新たな開発のキーワードとなったのが「悪路快適性」です。
単に悪路を走破できるだけでなく、荒れた路面でも乗員が快適に過ごせる走りや機能性を追求しました。
具体的にどのような性能を目指したのか、開発陣に聞きました。
「悪路快適性、それはオフロードでもドライバーをはじめとした乗員に疲労感や無駄な緊張感を与えないことと考えています。弊社の車両運動統合制御システム『S-AWC』をはじめ、様々な制御を採用していますが、その制御が働いていることを感じることなく悪路を走れてしまう性能、それがあれば乗員は安心してリラックスした状態で悪路を移動できます。
そして悪路でも比較的フラットな姿勢で不要な揺れがないことも悪路快適性を実現するために必要な要素です。このような観点を軸に悪路快適性という性能を作り上げてきました」
こうした考え方をもとに開発された新型パジェロは、基本構造にピックアップトラック「トライトン」のラダーフレームを活用しています。
ただし、ホイールベースはトライトンより短く、フレームの剛性を高める改良も実施。リアサスペンションには新開発の5リンク式リジッドを採用するなど、パジェロ専用の設計が随所に施されています。
そのため、単にトライトンをSUV化したモデルというわけではなく、パジェロが目指す走行性能や快適性に合わせて作り込まれているのです。
本格的な悪路走破性を備えたSUVには、メルセデス・ベンツ「Gクラス」をはじめ、高価格帯のモデルも存在します。
そうしたライバルに対して、新型パジェロならではの強みはどこにあるのでしょうか。開発陣に尋ねると、次のような答えが返ってきました。
「やはり、オンロードとオフロード、どちらも快適に走れる。その二刀流の次元の高さはハイエンドブランドのモデルにも引けを取らない、自信があります」
悪路走破性だけでなく、さまざまな路面での快適な走りを追求した新型パジェロ。開発陣が自信を見せるその実力を、オンロードとオフロードの両方で確かめてみたいところです。
Writer: 西川昇吾
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。























































