大幅パワーアップのVW「最新“後輪駆動”SUV」実際どう? “エンジン車”のように自然!? ロングドライブで実感した「ID.4」の魅力とは
フォルクスワーゲン ジャパンは2026年1月9日、電気自動車「ID.4」を一部仕様変更し、同日より販売を開始しました。その新しいID.4を使った長距離リレー試乗会に参加。東京から群馬県高崎市まで約250kmを走り、長距離を走ったからこそ分かるID.4の魅力を確認しました。
VWの主力電動SUVがさらに進化
電動化を進めているフォルクスワーゲン(VW)は、2020年に電動車ブランド「ID.ファミリー」の第一弾である「ID.3」を発表後、矢継ぎ早にEV(電気自動車)を発売。日本でもSUVの「ID.4(アイディーフォー)」を2022年、そしてかつての名車「タイプ2(T1、通称ワーゲンバス)」を彷彿とさせるミニバン「ID.BUZZ」を2025年から発売しています。

世界戦略車として位置づけられているID.4は、日本市場におけるフォルクスワーゲンの主力EV。日本の交通事情でも乗りやすい全長4585mm×全幅1850mm×全高1640mmという適度なボディサイズ、高い車高と2770mmのホイールベースがもたらす広く快適な車内、質感の高いインテリアを有するSUVです。
バッテリー容量と、同一車線内全車速運転支援システム「トラベルアシスト」や装備の違いによって、「ID.4 Lite(ライト)」と「ID.4 Pro(プロ)」の2グレードを用意しています。
2026年1月9日には一部仕様変更が実施され、バッテリー容量のアップや内装の変更、使い勝手の向上が行われたほか、Proの最高出力が204馬力から286馬力に、最大トルクは310Nmから545Nmに増強され、大幅にパフォーマンスをアップしました。
参考までに最大トルク545Nmは、3リッターV6ツインターボや、4〜5リッターのV8エンジンクラスが発生する数値です。
そこでフォルクスワーゲン ジャパンは、この新しいID.4を使った「ID.4長距離リレー試乗会」を開催。東京・品川区のフォルクスワーゲン ジャパン本社から埼玉県、群馬県、長野県、新潟県、富山県、岐阜県、愛知県、静岡県、神奈川県をぐるっと回る長距離コースを、6つの自動車メディアがリレー形式でバトン(タスキ)をつないで試乗します。
本媒体は、その一番手として参加。東京から、タスキの受け渡し場所であるフォルクスワーゲン高崎がある群馬県高崎市までID.4を走らせることに。長距離を乗ったからこそ分かる、ID.4の魅力を確認しました。
EVの滑らかさとエンジン車のような自然さを両立
フォルクスワーゲン ジャパンからID.4を受け取り、さっそく高崎を目指しましょう。
まずは目的地をセット。全車に搭載されている純正インフォテインメントシステム「Ready 2 Discover MAX」なら、コネクティビティ機能「App-Connect」を介してスマートフォンを接続し、スマートフォン側の地図アプリを使用可能です。
モニターサイズは12インチと大きく、画面も高精細で見やすいので、カーナビとして使用する際には特にその美点を実感します。

背が高いSUVフォルムのID.4は、ぱっと見では大きく感じますが、乗り込んでしまえば車両感覚もつかみやすく、クルマがひしめく都内をスイスイと抜け、高速道路の入口まで気を使わずに走行できました。
なお、この「ID.4の取り回しの良さ」は、あとでさらに実感することになります。
ID.4の特徴のひとつが、先にも記した優れた動力性能です。都内の路上でも、少しアクセルを踏んだだけでスーッとなめらかに動き出します。ひと言でいえば「軽い」という感覚です。
高速道路の料金所を抜けてから本線への合流を迎え、アクセルを少し多めに踏むと、ID.4はさらに胸のすくような加速を見せました。
本線に入ったら、0km/hから約210km/hの間で作動する同一車線内全車速運転支援システム「トラベルアシスト」をセット。
全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)と、自動でステアリングの補正を行うレーンキープアシストシステム「レーンアシスト」を組み合わせたシステムです。
トラベルアシストを活用すると、速度と車間距離の調整、ブレーキ操作のみならず、車線の中央をクルマ自らがキープしてくれるため、高速道路での疲労感が大幅に減少します。
車間の調整も、速度と任意で設定した距離に合わせたちょうどよい塩梅を保ちます。前車に追従してブレーキをかける際も急ではなく、また停止直前にギュン!と効くようなこともありません。運転が上手な人のクルマに同乗しているような気さえしました。
今回のドライブでは、高崎に向かう前に軽井沢に立ち寄って戻ることにしたので、関越自動車道から上信越自動車道へと進みました。
上信越自動車道は軽井沢まで長い登り区間が続きますが、ID.4の優れた動力性能では、もちろん何のストレスも感じませんでした。
そしてぜひお伝えしておきたいのは、EVではモーターが停止状態から最大トルクを発生するという特性から、アクセルを踏んだ瞬間に背中をシートに押し付けるような勢いで直線的に加速するモデルもありますが、ID.4ではまるでエンジン車でアクセルを開けたときのように、じわーっと二次関数的に速度を増していくことです。
さらにアクセルを戻したときの減速感も、エンジン車のようにごく自然です。
しかしシフトノブのスイッチを「B」に入れれば、EVらしくアクセルオフで減速する運転も可能。回生ブレーキの効きはマイルドではあるものの、EVのワンペダル運転に慣れたドライバーにはこちらのレンジが向いているかもしれません。
EVらしいなめらかな加速をしつつも急激な加速をせず、アクセルオフ時に減速しすぎない自然な味付けは、ガソリン車から乗り換えたユーザーにも受け入れられるのではないでしょうか。
軽井沢では何か所か観光スポットを見に行ったのですが、その際、狭い道を何回か通ったり、狭い駐車場に停めるシーンがありました。
しかしID.4は、アイポイントの高さと最小回転半径5.4mという取り回しの良さが功を奏し、狭い路地でも気を使わずに運転ができました。やはり「ハンドルが切れる」クルマは乗りやすいのです。
最小回転半径が小さいのは、前輪の切れ角を大きく取れることも理由のひとつです。
VWといえば、かつてはリアエンジン・リア駆動の「RR」、そして1970年代前半からはフロントエンジン・フロントドライブの「FF」が主流でした。
ところがID.4は後輪が駆動軸。モーターをリア側に搭載する、後輪駆動のレイアウトを採用しています。
このレイアウトの恩恵は大きく、ハンドリングはとても良好。車重2トンを感じさせない軽快さで、ワインディングロードをスイスイと駆け抜けていきます。
鼻先の軽さや、後輪がパワーを地面に伝える感覚は、たしかにFF車のそれとは異なるもの。前後重量配分は47:53という理想に近い数値で、これも操縦性の良さにつながっています。
見た目は完全にFFのSUVのようでありながら後輪駆動というギャップも、ID.4の面白さです。
そして出発の翌朝、フォルクスワーゲン高崎に到着。品川出発時に託された「タスキ」に「くるまのニュース」の文字を書き、次のランナーに託します。
品川から高崎までは直線距離で約130kmほどですが、遠回りをして向かったため、トータルでの乗車距離は約250km。そのなかには市街地、高速道路、ワインディングなどすべてが含まれていますので、日常でクルマを使うシーンをおおむね網羅できたと思います。
そこで感じたのは、ID.4は未来的なEVでありながら、EVらしからぬ自然なドライブフィーリングと、使い勝手に秀でた広い室内と荷室を持った、生活に寄り添う実用的なオールラウンダーということです。
VWのクルマといえば、実用車の鑑(かがみ)、ベンチマークと称される「ゴルフ」を筆頭に、高品質を誇る内外装、高い機能性と優秀なハンドリングを有する魅力的なモデルが数多く存在しますが、ID.4もまた然り。
パワーソースがエンジンからモーターに変わっただけで、走行性能の高さ、骨太な設計思想、そしてドイツ由来の技術と品質は、ID.4にもあふれるほど受け継がれているのです。
そのため途中から、もはやEVに乗っている感覚が薄れたほど。しかしそれこそが、今後EVが普及していくために必要な条件のひとつなのかもしれない、と思いました。
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なお、出発時のバッテリー残量は99%、走行可能距離は474kmで、高崎到着時はそれぞれ47%と238km。メーター上での電費は約5.8km/kWhを記録しました。
参考までに、ID.4 Proのカタログ上での一充電走行距離はWLTCモードで587kmです。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。

































































