トヨタ「86」に“ワゴン仕様”があった!? 荷室を広げても走りは本格派! 日本の匠が手作りした「幻のハチロク」とは
2027年1月にカスタムカーの祭典「東京オートサロン2027」が開催されます。同イベントでは毎年さまざまなチューニングマシンや独自のコンセプトモデルなどが出展され注目を集めますが、過去にも記憶に残るカスタムカーがありました。今回は、トヨタのオーストラリア法人が2016年に公開した「86シューティングブレーク」について紹介します。
匠が手作りした異色のスポーツカーとは
まもなく、カスタムカーの祭典「東京オートサロン2027」が開催されます。毎年さまざまなチューニングマシンや独自のコンセプトモデルなどが出展される同イベントですが、過去にも記憶に残る注目のカスタムカーがありました。
トヨタのオーストラリア法人が公開した「86シューティングブレークコンセプト(86 Shooting Brake Concept)」も、そんな1台です。
トヨタのFR(後輪駆動)スポーツカー「86(ハチロク)」といえば、通常のモデルは2ドアクーペですが、86シューティングブレークコンセプトは、荷物を積む使い勝手を広げた異色の1台でした。
企画と開発を担ったのはトヨタ・オーストラリアのプロダクトデザインチームです。
86シューティングブレークコンセプトはその後、日本でトヨタのスポーツカー部門の指揮のもと手作業で製作されました。実際に走ることができる試作車でしたが、量産されることはありませんでした。
お披露目は2016年5月。オーストラリア・シドニーで、当時86の開発責任者を務めていた多田哲哉氏が世界初公開しました。

実車の製作につながったのは、4分の1スケールのクレイモデルでした。
多田氏は2014年11月にオーストラリアを訪れた際にこのモデルを見て、プロジェクトを支援しようと決めたといいます。「本当に驚いた」と振り返る多田氏は、オーストラリアのデザインをもとに、熟練の“匠”の試作職人による手作りでの製作を手配しました。
トヨタ・オーストラリアのデザイン責任者、ニコラス・ホギオス氏によると、チーム内ではクーペにどこまで手を加えるかで大いに議論が交わされ、最終的に作り直したのはリヤクオーターとルーフだけでした。
ホギオス氏はこの過程を、お菓子屋さんではしゃぐ子どもと、それを止める親にたとえています。元の86をできるだけ残し、必要なところだけを変えると意識的に決めたそうです。
その結果、4人乗りのスポーツカーに、後席のヘッドルームと荷室の余裕が加わりました。ルーフにはサーフボードや自転車、収納ポッドを積めるうえ、大きくなったリヤの開口部で荷物の出し入れもしやすくなっています。
ベースとなった初代86は、トヨタとスバルが共同開発し、2012年4月に発売したFRクーペです。生産もスバルが担当しました。
トヨタは発売時、水平対向エンジン搭載のFRパッケージを、2012年1月末時点の市販車では世界唯一と説明していました。
発売当初の日本仕様は、最高出力200PS・最大トルク205Nmの2リッター水平対向4気筒エンジンを搭載しています。
多田氏は、86シューティングブレークコンセプトについて、トヨタのテストコースで走行テストを行い、完全に機能する走行可能な車両だと説明しています。86譲りの適度な重さを持つダイレクトなステアリングと、クーペの運転の楽しさは保たれ、タイトなコーナーではわずかにニュートラル寄りの感触になるとのことです。
とはいえトヨタは、反応を見たいとしつつも、あくまで社内のデザインスタディであり、生産計画はないとしていました。
多田氏も「決して“ない”とは言わない」と前置きし、市販化されたらうれしいと語りながらも、走って楽しいクルマをつくる情熱を示すコンセプトだと位置づけています。
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その後、ベース車の86は2代目の「GR86(ジーアールハチロク)」へと進化しています。いっぽうで86シューティングブレークコンセプトの試作車は、2024年2月から5月にかけて、トヨタ博物館の文化館エントランスで展示され、反響を集めました。
実車を見た人からは「Bピラーの部分も自然で本当に売ってそう」「今のGR86でも作って欲しい!」といった声が寄せられましたが、2026年10月現在も市販化の動きはないようです。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。





























