スーパーGT第3戦 SUZUKA、「NSX GT3」決勝レースはタイヤ無交換作戦(その3)[PR]
タイヤ向交換作戦で一時4番手まで順位を上げたNSX GT3
スーパーGTはひとりのドライバーが走らなければならない義務周回数が、レースディスタンスの1/3と定められています。
そしてセーフティカーが周回を重ねたことによってGT500クラスの周回数は全体の1/3を消化した状態となり、ピットオープンと共にライバルたちは一斉に、ピットへとなだれ込んだのでした。
スーパーGTでは、セーフティカーラン中のピットインは禁じられています。安全確保のためにスロー走行するセーフティカーを利用して、周回数が進まないうちにピット作業を終了させないため、ピットロード入り口を封鎖しているのです。
しかしピットロード入り口がオープンとなっても、NSX GT3はピットへ向かうことができませんでした。なぜならまだ燃料タンクにはガソリンが多めに入っており、この時点で満タンにしてしまうと、残りのレース距離を走りきれなくなってしまう計算だったのです。
こうしてわずかなロスを余儀なくされたままレースは再開。「♯34 Modulo KENWOOD NSX GT3」は、結局28周目にピットインをしました。このとき34号車の順位は、ライバルたちの早めのピットインもあって、4番手まで上がっていました。
第二ドライバーである大津選手に交代し、NSX GT3は9番手でコースに復帰。ロスを最小限に防ぐことができたのは、タイヤ無交換作戦を行った成果でした。
しかしここから追い上げを期待された大津選手は、思うようにそのタイムを伸ばすことができませんでした。そしてNSX GT3の順位は14位まで大きく落とし、遂には32周目に、再びピットへマシンを戻してしまいました。
原因は左リアタイヤのアクシデントでした。タイヤ無交換の無理がたたったのではなく、コース上で何かを踏んだことが原因のようでした。
チームはサスペンションアームに絡みついた大量のワイヤーを取り除き、新たにタイヤを履かせて大津選手を再びコースに送り出しました。大津選手も懸命の走りで挽回を狙いましたが、その大差をリカバリーすることは叶いませんでした。
最終的に「♯34 Modulo KENWOOD NSX GT3」はレースを完走しましたが、その順位は26位とほろ苦い結果となりました。
■ドライバー:道上龍選手
「タイヤトラブルの原因はまだわからないですが、ボクが走っているときはゴムの摩耗状態も決して悪くはありませんでした。大津に変わってから、何かを踏んでしまったのではないかと思います。
あと上位マシンのペースを見ると、やっぱりもっともっとレースペースを上げて行かねばいけないですね。そこで課題となるのはやっぱり燃費です。これを踏まえた上で、どうやってペースを上げられるか、チームに持ち帰って対策を考えます。ありがとうございました」
■ドライバー:大津弘樹選手
「悔しいですね。タイヤ交換してからのペースは悪くなかったですし、ライバルたちも抜けたのですが、根本的なレースペースはまだまだ遅くて改善が必要です。燃料が軽くなった状態では感触がつかめたので、今度は満タン状態での速さが出せるようにしたいですね。今回はとても悔しい結果となりましたが、次戦もがんばりますので応援よろしくお願いします」
【了】
[Text:山田 弘樹 Photo:田村 弥]
Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。