扱いやすいサイズ感や手頃な価格、維持のしやすさが魅力のコンパクトカーですが、近年、上級モデルのようなラグジュアリーな質感を持つものも登場しています。

　ホンダの主力コンパクト「フィット」の現行型も、まさにそうしたプレミアム仕様が存在します。

　2001年にデビューしたフィットはホンダ独自の「センタータンクレイアウト」による広い室内やスタイリッシュなデザインが支持され、歴代モデルで好調な売れ行きを記録しています。

　現行型は2020年2月に発売された4代目です。欧州車風のカジュアルなデザインを採用したほか、2モーターハイブリッド「e：HEV」の設定による高い走行性能と良好な燃費性能、先進運転支援「ホンダ センシング」搭載による安全性の向上を図っています。

　2022年10月にマイナーチェンジが実施され、ガソリンエンジンは1.3リッターから1.5リッターへと排気量をアップし、パワーを向上。e：HEV車の出力アップも図っています。

　燃費性能（WLTCモード）はガソリンモデルで18.7km／L、e：HEVモデルで30.2km／Lと、良好な燃費をマークします。

　さらに、渋滞アシストや急アクセル抑制機能追加といったホンダ センシングの機能向上、内外装デザインのアップデートで、さらに熟成したモデルになりました。

　2024年9月の改良では、全グレードでオートリトラミラーや全席オートパワーウィンドウ、助手席シートバックポケット、ラゲッジルームランプが追加され、各モデルでも装備の充実化を図りました。

　ボディサイズは全長3995-4095mm×全幅1695-1725mm×全高1515-1570mm、ホイールベースは2530mmです。

　ラインナップは、従来のような装備の違いで分けるものとは違い、基本装備は共通させ、内外装のコーディネーションを変更するというものになっています。

　具体的なバリエーションは、シンプルな「BASIC（ベーシック）」、モダンな「HOME（ホーム）」、スポーティな「RS」、アウトドアスタイルの「CROSSTAR（クロスター）」、そして「LUXE（リュクス）」を用意。

　なお、登場当初にあった「NESS（ネス）」は現在は廃止されています。

　このうち、LUXE（リュクス）は、コンパクトカークラスを超えた「小さな高級車」といっても過言ではない、非常に豪華な仕立てが特徴です。

　エクステリアはLUXE専用のプラチナ調メッキ加飾がフロントバンパーやサイド、テールゲートに備わり、きらびやかで特別な印象が与えられたほか、エレガントなダブルスポークタイプの専用16インチホイールが装着され、ラグジュアリーな雰囲気が漂います。

　さらにインテリアは、エクステリア以上に贅沢な仕上がりです。

　まず他のグレードとは異なり、唯一本革シートが標準装備されています。前席やステアリングにはヒーターが備わり、リアシートにもアームレストが追加されるなど、快適性能も確保しました。

　さらに、オプションで用意されるベージュ系カラー「ライトブラウン」（4万4000円）を選択した場合では、ますます高級車のようなインテリアに変化します。

　ライトブラウンはシート本体だけでなく、メーターパネルや助手席アッパー、オーディオ周辺などインパネの上部に加えて、ドアトリム（フロントのみ）やセンターコンソールもライトブラウンに変更。

　インテリア全体が一気にイメージチェンジし、本革の質感が強調されます。

　シートも変更され、ブラックのパイピングがあしらわれるほか、背面・座面部にキルティングとパーフォレーション（穴あけ）が施され、アッパークラスの高級車のようなラグジュアリーさが漂います。

　フィット LUXEの価格（消費税込）はガソリンモデルが230万5600円から250万6900円（4WD）、e；HEVモデルが264万3300円から284万6800円（4WD）。

　中間グレードの「HOME（ホーム）」と比較すると30万円程度高くなりますが、それでも充実した装備の内容を考えると、非常に手頃です。

　コンパクトカーとして日常での普段使いに供しながら、さりげなく贅沢に飾れて所有欲まで満たしてくれるフィットLUXE。コンパクトカーを検討しているのであれば、十分良い選択肢になりそうです。