トヨタ「ヴォクシー」は好調な販売実績を維持しているミドルサイズミニバンです。
　
　日本自動車販売協会連合会が発表する「乗用車ブランド通称名別順位（新車販売ランキング）」によると、2024年4月から2025年3月までのランキングでは、ヴォクシーは販売台数7万2770台で12位にランクインしました。
　
　そんなヴォクシーの最も安価なグレードとは、一体どのようなクルマなのでしょうか。

　初代ヴォクシーは2001年に姉妹車の「ノア」とともに登場しました。

　ノアが落ち着いた印象なのに対し、ヴォクシーは個性的で主張の強いフロントデザインを持ち、両車のキャラクターの違いが明確です。

　なお、3代目モデルの販売期間途中まで、ネッツ店専売車種であることを示すエンブレムがフロントに装着されていました。

　当初、ヴォクシーはネッツ店、ノアはカローラ店と販売チャネルが分かれていましたが、2020年5月以降はトヨタ全店舗で全車種を販売する体制に移行しています。

　現行型は8年ぶりにフルモデルチェンジし、2022年1月から販売されている4代目です。

　全グレードが3ナンバーサイズに統一されました。

　そんなヴォクシーのグレードは、「S-G」「S-Z」の2種類で、それぞれにガソリンモデルとハイブリッドモデルが用意されています。

　なかでも最も安価なモデルが「S-G（ガソリン）」です。

　ボディサイズは全長4695mm×全幅1730mm×全高1895mm-1925mm、ホイールベースは2850mmと他のグレードと変わりません。

　最安モデルのS-Gを含め、全車にヴォクシー専用の個性的なエアロパーツが装着されます。

　S-Gは印象的な薄暮灯が装備されていない点を除けば、上位グレードとの外観の違いはほとんどありません。

　最上位グレードは17インチタイヤ＋切削光輝ダークグレー塗装のアルミホイールを装着しますが、その他のグレードは16インチタイヤ＋アルミホイールを採用しています。

　ボディカラーはグレードに関係なく全6色から選択可能です。

　インテリアカラーは全車ブラックのみで、7人乗りまたは8人乗りのレイアウトから選択することができます。

　シート素材はファブリックで、7人乗り2列目シートにはキャプテンシートが標準装備されているのも大きな魅力です。

　なおS-Gグレードでは、車内側のドアハンドルのシルバー加飾や折りたたみ式大型サイドテーブルなどが省略されています。

　ただし、ステアリングは廉価グレードでよく使われるウレタンではなく、本革巻きステアリングホイールを採用しているのもポイントです。

　エアコンは、フロントが左右独立温度調整非対応のタイプで、リアはクーラーのみです。メーターのマルチインフォメーションディスプレイは、S-Gが4.2インチ、上位グレードが7インチを採用しています。

　寒い日に役立つ運転席＋助手席の「快適温熱シート」は標準装備されていませんが、メーカーパッケージオプションで選択可能です。

　スイッチ式パワースライドドアは助手席側が標準装備、運転席側はメーカーオプションで装着可能です。

　キーレスエントリーシステム「スマートエントリー」は全車に標準装備されています。

　衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロール（ACC）などを含む予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」のほとんどの機能が標準装備されています。

　一方、駐車・走行支援システム「トヨタ チームメイト」や「バックガイドモニター」はオプション設定です。

　パワートレインは最高出力170PS・最大トルク202Nmの2リッターガソリンエンジンに、トランスミッションはDirect Shift-CVTを搭載。

　駆動方式は2WD（FF）と4WDから選択可能です。

　なお価格（消費税込）は、7人乗りと8人乗りともに、2WDモデルが309万円、4WDモデルが328万8000円で、最上級モデルの「HYBRID S-Z E-Four（396万円）」との差は約90万円です。

　グレードによる内外装のクオリティの差が小さく、基本的な安全装備が全車に搭載されていることを考慮すると、最安グレードのS-G（ガソリン）は非常にお買い得といえるでしょう。