全長3.2m! スズキの斬新「めちゃ小さいスポーツカー」が凄い! 「名車フロンテ」風の旧車デザイン×美麗ボディの「LC」! 2人乗りの“スペシャリティ”モデルは今欲しい1台
シンプルでスタイリッシュな軽自動車づくりに定評のあるスズキ。2005年に発表したコンセプトカー「LC(エルシー)」は、現在のスズキの礎を築いた、ある往年の名車をモチーフにしていました。
往年の傑作をオマージュ!「自分にぴったり」のスモールカー
軽自動車をはじめ、大衆車づくりを得意とするスズキは、2005年開催の第39回「東京モーターショー」に、「LC(エルシー)」というユニークなコンセプトカーを参考出品していました。
どのようなクルマなのでしょうか。

2005年(平成17年)に開催された第39回東京モーターショーは、前身である「全日本自動車ショウ」の第1回が1954年に開祭されてから50周年という、節目のイベントとなりました。
各メーカーの展示も、50年の歴史を意識したものとなっていましたが、なかでもスズキが出展した軽のコンセプトカー LCは、スズキが1967年(昭和42年)に発売した軽自動車「フロンテ360(LC10型)」をモチーフにしたレトロなデザインで注目を集めました。
「フロンテ」の名前を冠するモデルとしては2代目となるフロンテ360は、軽自動車の排気量上限が、まだ360ccまでだった時代の名車として知られています。
当時、高速道路の建設・開通が全国各地で進むなか、軽自動車でありながら、本格的な高速ドライブ時代の到来を見すえて開発されたクルマでした。
エクステリアは、先代フロンテまでのシンプルなデザインを一新。「コークボトルライン」と呼ばれる、スピーディーで有機的なキャラクターラインを持つフォルムを採用しました。
また、駆動方式も従来のフロントエンジン・フロントドライブ(FF)から、リアエンジン・リアドライブ(RR)へ転換。サスペンションもフロントにダブルウィッシュボーン式、リアにはセミトレーリングアーム式の四輪独立懸架を採用し、スタビリティを高めました。
パワーユニットは、同社の二輪用エンジンをベースに新開発した2ストローク・直列3気筒「LC10型」エンジン。わずか356ccの排気量から、最高出力25ps/5000rpm、最大トルク3.7kgm/4000rpmのハイパフォーマンスを実現しました。
まさに入魂のモデルチェンジを敢行したフロンテ360。スズキはフロンテ360の高い性能と耐久性をアピールするため、海外での走行テストキャンペーンに挑みました。
挑戦の舞台は、日本から遠く離れたイタリアの高速道路「アウトストラーダ・デルソル(イタリア高速A1号線、通称“太陽の道”)」。スズキは1968年10月、翌11月にデビューを控えていたスポーツモデル「フロンテ360SS」のプロトタイプ2台をイタリアに持ち込みました。
ハンドルを握ったのは、F1ドライバーとして有名だったスターリング・モス氏ら2人。
フロンテ360SSは、当時速度無制限だった延長750kmの区間を、見事ノートラブルで走破。タイムは6時間6分で、これは360SSの公称最高速度の120km/hを超える、平均速度122.44km/hで走りきった計算でした。
さらに、テスト中には最高速度134.1km/hを記録。フロンテ360の軽自動車離れした走行性能をアピールするテストとしては大成功の結果でした。
フロンテ360は、同年デビューしたホンダ「N360」とともにヒットを記録し、スポーティな軽自動車への人気に火をつけました。販売台数は月間で8000台以上を堅調にキープし、1970年に後継の「フロンテ71(LC10-II型)」にバトンタッチ。
スモールカーに強いメーカーというスズキのキャラクターを確立したのです。
そんなフロンテ360の、約40年ぶりの再来となったスズキLC。ボディサイズは全長3200mm×全幅1475mm×全高1390mmと、全長は軽自動車規格の上限より短く、乗車定員も2人までとなっています。
開発コンセプトは「自分にぴったり、うれしいサイズの小さなクルマ」。“LC”のイニシャルには「life creator」の意味が込められています。
室内空間を敢えてコンパクトにまとめつつ、豊かな曲面を持つフロンテ360のデザインを強く意識したパーソナルスポーツカーとしてまとめられました。
エクステリアはツヤを抑えたシルバーのボディカラーが未来的な感覚ながら、特徴的な丸いヘッドライトにテールライト、グリルや「フェンダーミラー」などがクラシックな印象です。
また、駆動方式はフロンテ360のRRではなくFFとなっていますが、ボディサイドの冷却用エアインテークの意匠も給油口としてアレンジされています。
インテリアも、近未来的でありつつレトロでもある独特の仕上がりです。インパネ下面より下側の内装色は赤を基調にまとめられ、シートはオシャレなチェック柄となっています。
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レトロデザインの超コンパクトなスペシャリティカーとして企画されたLC。現在まで発売には至っていませんが、フロンテ360のデザインのヘリテージは「ラパンLC」などにも受け継がれ、スズキもその存在の重要性を認識しているようです。
「自分にぴったり」サイズで毎日を彩る小粋なモデルとして、LCのようなクルマの登場を、今も多くの人が願っていることでしょう。
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