え…「無免許運転」じゃない!? AT限定で「MT車を運転」するとどうなる? 該当する意外な項目とは
「AT限定」の運転免許を取得している人が仮にMT車を運転した場合、どのような違反になるのでしょうか。
該当するのは無免許運転?
クルマの普通運転免許には、MT(マニュアルトランスミッション)車と、AT(オートマチックトランスミッション)車の両方を運転できるものと、AT車に限定して運転できるものの2種類があります。
では、AT限定免許を取得している人がMT車を運転すると、どういった違反になるのでしょうか。
MT車は足元にアクセル、ブレーキ、クラッチの3ペダルが備わり、クラッチを操作して手動でギアチェンジします。
一方AT車は、アクセルとブレーキの2ペダルが備わり、ギアチェンジはクルマが自動で判断してくれます。
このAT限定の普通運転免許は1991年11月に創設されました。現在では、新車のほとんどがAT車(CVTやDCTなど含む)であり、免許の新規取得者もAT限定が多くなっています。
警察庁の運転免許統計によると、2022年に普通自動車第一種運転免許を受験した人は157万8541人で、このうち70%を超える115万7054人がAT限定を選択しています。
では、仮にAT限定免許の取得者がMT車を運転すると、どのような違反になるのでしょうか。これについて、元警察官Bさんは以下のように話します。
「間違えられることもありますが、AT限定免許の人がMT車を運転した場合、無免許運転ではなく免許条件違反に該当します。
例えばAT限定普通免許の場合、一般的な普通車や軽自動車を運転できる『普通免許』は持っているものの、それに『AT限定』という条件が付与されています。
そのため、AT限定の普通免許でMTの普通車を運転すると免許条件違反になるのです」
AT車とMT車ではクルマの運転操作が大きく異なるため、一見MT車の運転が可能な普通免許を持っていない「無免許運転」に該当すると思いきや、免許条件に違反する「免許条件違反」になるといいます。
免許の条件とは、公安委員会が交通の安全上必要と認めたときには、免許を持っている人の身体の状態や運転の技能に応じて、運転可能な自動車などの種類を限定したり、運転をする際に必要な条件を付すことができるとされています。これは道路交通法第91条に規定されています。
免許の条件で思い浮かぶものとして、運転時に眼鏡やコンタクトの使用を義務付ける「眼鏡等」は目にしたことある人も多いでしょう。
ではこういった過去に検挙事例などはあったのでしょうか。元警察官Bさんは以下のように話します。
「あくまで私の体感ではありますが、警察官として勤務していた頃はこの違反での検挙事例はあまり聞いたことがありません。
おそらく、AT限定免許の人がわざわざMT車を運転するケースが少ないためだと思います。
いずれにせよ、付与された条件に反して運転すると非常に危険であり、交通事故を起こすおそれもあるため絶対にやめましょう」
※ ※ ※
AT車限定の普通免許でMTの普通自動車を運転した場合、無免許ではなく免許条件違反が該当します。
もしAT限定免許を取得済みで、どうしてもMT車を運転したいという場合は、AT限定解除の審査を受ければ運転が可能です。
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