脱ガソリンも四輪で得た先進技術をバイクへ最適化し転用できる強みでリードしていく!【BMWモトラッドジャパン責任者インタビュー第2回/全3回】

ホンダモーターサイクルジャパン室岡社長へのインタビューに続く、バイクジャーナリスト青木タカオさんのバイクメーカートップインタビュー! 今回はBMW Motorrad Japan ディレクター(二輪部門責任者)のLee Nicholls/リー・ニコルスさんに、全3回にわたってアレコレ聞いてみます!!

EV化への流れは避けられない

 青木タカオ:BMWグループ全体では、2030年までにバリューチェーン全体でCO2の排出量を1/3に、量にして2億トン減らすと宣言。すでにEVは『Cエボリューション』(欧州=2014年、日本=2017年)を発売していますが、そもそもモーターサイクルは燃費がとてもいい。二輪をEV化していくことについてどうお考えでしょうか?

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BMW Motorradの電動バイク『Cエボリューション』

 リー・ニコルス責任者(ディレクター、以下敬称略):世界の多くの都市で、2030年以降にガソリンエンジン車が販売できなくなると行政によって公言されていますから、EV化へシフトするのは避けられないというのが、まずひとつあります。それと、BMWグループ全体でCO2の排出量を削減して、環境へ貢献したいというのもあります。

 青木:1916年に航空機エンジンメーカーに始まり、内燃機に関して膨大な技術を持っているBMWにとって、レシプロエンジンをやめるのは難題ですよね。我々ファンとしても惜しいです。

 リー:はい。あくまでも個人的な意見ですが、ガソリンエンジンのサウンドや鼓動、バイブレーションは自分にとってかけがえのないものです。その一方で近い将来、環境問題やレギュレーションを考えれば、EV化は避けられないものとなっていくでしょう。

 BMWの優れる点は、そういった課題に対して早くから取り組んでいるところで、おっしゃるとおり我々は早くから二輪のEVモデルを発売していますし、もうひとつ有利なのは、四輪車においてガソリンにかわるエネルギーへの研究開発に膨大な資金と時間を費やして得た最新技術を、モーターサイクルにも転用できることです。

 青木:BMWは1972年のミュンヘンオリンピックで、マラソン競技の並走車としてEVを走らせていますし、東京マラソン2020ではCエボリューションがランナーを先導しました。こうしたプロモーションは、EV市場をリードしていくという意思表示なのでしょうか。

東京マラソン2020ではCエボリューションがランナーを先導

 リー:マラソンの先導車をゼロエミッションのEV車にするのは理にかなっていますよね。長い距離を走って呼吸が苦しいランナーが、CO2をずっと吸い続けるなんて避けたいですし、小池百合子都知事が『Cエボリューション』を選んでくれたのは、都政が環境に対して真剣に取り組んでいるからなのでしょうね。

 もうひとつ申し上げたいのは、次世代のラインナップで中心となる可能性を秘めているのは電動だけではありません。BMWグループ全体でEVのほかに燃料電池車(FCV)もつくれますし、また違う他の動力源もあり得ると考えています。

 青木:なるほど。EVモデルはコミュータータイプの『Cエボリューション』のみとなっていますが、スポーツモデルなど他のタイプへの拡張はどのようになっていますか?

 リー:いま、具体的なモデルについては申し上げられませんが、東京都は2035年に二輪もガソリンエンジン車の新車販売をやめたいと言っていますから、EVモデルのラインナップが増えていくのは、おかしくないでしょうね。

クルマとバイクの通信を開発中!

 青木:1987年の『K100』にABSを市販二輪車に初採用したように、昔から他メーカーに先駆けて先進技術をモーターサイクルに導入してきたBMW。新型『R1250RT』ではアクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を採用し、革新技術はBMWからといったイメージが我々日本のバイクファンにもあります。

新型『R1250RT』には、アクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を採用

 たとえばですが、車間通信や路車間通信などこの先の技術も、ライバルより早くもバイクに導入していきたいという思いはありますか?

 リー:まず、BMWが先進技術を早くから投入しているというイメージを持たれていることに対しては、本当のことですし、ありがたいことで、今後もその姿勢をキープしていきたいです。やはりグループ全体で、膨大な費用と時間を費やして獲得した四輪車で培われた技術を、どのようにモーターサイクルへ転用し最適化ができるのかをいつでも考えられる環境にあることが我々の強みと言えるでしょう。

BMWは、安全にモーターサイクルが楽しめるように開発・研究を進めている

 安全に関してのプロジェクトをひとつ言いますと、それはバイクとバイクの通信ではなく、クルマとバイクの通信です。交差点や脇道から幹線道路へ四輪車が合流するとき、クルマが鼻先を出してそこへバイクが突っ込んでしまうというケースが考えられます。それを防ぐために何らかのシグナルを出し合い、出会い頭の事故を回避するというものです。そんなことができれば、もっと安全にモーターサイクルが楽しめるでしょう。BMWグループだけでなく、他社とも協議し、開発・研究を進めています。

提供:バイクのニュース

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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