【MotoGP第5戦フランスGP】世界戦に挑む中上選手 ウエットコンディションに苦しみながらも7位フィニッシュ
MotoGP第5戦フランスGPの決勝レースが5月16日、ル・マン-ブガッティ・サーキットで行なわれ、中上貴晶選手(LCRホンダ・イデミツ)は7位でフィニッシュしました。
状況に苦しみながらもレースには満足、次戦以降にも期待が高まる
<
フランスGPの週末を通して、ライダーたちは不安定な天候と変わる路面状況に翻弄されました。決勝日も例外ではなく、午前中に行なわれたウオームアップセッションでは、雨のためフルウエットコンディション。しかし、MotoGPクラスの決勝レースを迎える現地時間14時ごろには路面状況がほぼ回復し、すべてのライダーがスリックタイヤを履いたバイクでグリッドに並びました。
<
中上貴晶選手(LCRホンダ・イデミツ)は3列目7番手からスタート。予選では終盤に雨が降り出してスローダウンしたため、タイムを更新できなかったことを明かしていました。
決勝レースでは好スタートを切り、1コーナーまでの短いストレートで4番手付近にまで浮上します。マルク・マルケス選手(レプソル・ホンダ・チーム)とポジションを争いながら、1周目を終えて5番手。さらに2周目の3コーナーでマルケス選手を交わすと、4番手にポジションを上げます。
しかし、ここで再びル・マンのコース上に雨が落ち始めました。4周目にはホワイトフラッグが提示され、“フラッグ・トゥ・フラッグ”、つまりバイクの交換が可能になったことをライダーに知らせます。
今回のようにレース中にコンディションが変わり、ホワイトフラッグが提示された場合、ピットインをしてレインタイヤ(またはスリックタイヤ)を履いたバイクに交換してレースを続行するのです。
ちなみに今回のレースでは、雨が上がった終盤に再び路面が乾き出しました。そのためレース終盤、優勝したジャック・ミラー選手(ドゥカティ・レノボ・チーム)や、マルケス選手などはスリックタイヤを履いたバイクへの交換を考えていたそうです。
<
さて、雨とフラッグ・トゥ・フラッグにより、レースは混乱の様相を呈しました。5周目には中上選手を含む全ライダーがピットイン。レインタイヤを装着したバイクに乗り換えました。このフラッグ・トゥ・フラッグが前回実施されたのは、2017年第10戦チェコGPでした。2018年シーズンからMotoGPクラスに参戦を開始した中上選手にとって、初めての経験だったのです。
コースに復帰すると、中上選手はトップのマルケス選手、2番手のファビオ・クアルタラロ選手(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、3番手のミラー選手に次いで4番手につけました。さらに8周目にマルケス選手が転倒を喫して後退すると3番手に浮上。しかし、中上選手のペースは上がらず、2番手のミラー選手との差は10秒以上に開いていました。
中上選手はレース後、バイク乗り換えた後の様子を次のように振り返っています。
「バイクを替えてから、いいペースを刻むのがすごく難しかったです。僕だけではなく、ホンダのバイクはウエットコンディションでリアのグリップに苦戦していました。氷の上を走っているようで、リアグリップは“ゼロ”でした」
<
前述の通り、路面状況はレースが進むにつれて乾いていきましたが、それでも中上選手のペースは苦しいままでした。後方から猛烈なペースで追い上げてきたヨハン・ザルコ選手(プラマック・レーシング)やフランセスコ・バニャイア選手(ドゥカティ・レノボ・チーム)などに交わされ、最終的には7位でチェッカーを受けました。
一時は表彰台圏内の3番手を走行した中上選手ですが、このとき「周回数はまだ17、18周もあったので“きついレースになりそうだ”と思っていました」と言います。
「全力を尽くしました。でも、表彰台を狙うのは難しかったですね。ウエットコンディションではそこまで速くなかったので……。クラッシュしないように頑張りました。終盤に7番手にポジションを落としてしまったのはがっかりしていますが、これがレースです。
ドライでレースが始まって、フラッグ・トゥ・フラッグを初めて経験して、それからレース終盤には路面状況が完全にドライになりました。すごく大変なレースでしたが、満足していますし、全体的にいい経験だったと思います」
<
4位に入った前戦スペインGPでは、嬉しさと悔しさが入り交じった胸中を明かしていました。しかし、複雑な展開となった今回のレースでは、やれることをやったと結果を受け止めている様子が察せられました。
次戦の第6戦イタリアGPは5月30日に決勝レースが行われます。第3戦までの大苦戦を考えれば、少しずつ調子を取り戻していると言えるのではないでしょうか。中上選手が得意とする、ムジェロ・サーキットでの活躍に期待がかかります。
提供:バイクのニュース
ヤマハ「YZR750」 ロードレーサー2スト最大排気量のモンスターマシン
逃げられない速さ! なぜ電動白バイ導入? 警視庁が白バイにBMW製EVバイクを選んだ理由とは
「日本のライダーたちの希望になりたかった」小さなバイク屋さんが市販レーサーホンダ「NSF250R」で世界に挑戦した理由
スズキ「Ryuyo(竜洋)」(GSX-R1000Rレースバイク)軽量化された最強チューニングバイクが登場
突如でてきた「カワサキ」の電動バイク なぜ開発? いつ発売?
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。