フェラーリ最新「812コンペティツィオーネ」は6500万オーバー! 999台限定で受注スタート
クーペは999台、オープンは549台限定販売
次にビークル・ダイナミクスに話を進めよう。フェラーリがこの分野で開発の重要なテーマとして掲げたのは、全体的なパフォーマンスレベルの引き上げと、横方向ダイナミクスにおけるドライビング・プレジャーの向上、そしてコンペティツィオーネを名乗るスペシャルモデルとしてのハンドリング特性にあった。
独立4輪ステアリングの初採用、SSC(サイド・スリップ・コントロール)システムの第7世代への進化、そして専用のミシュラン・カップ2Rタイヤの開発などは、その代表的な例だろう。
このなかでもっとも興味深いのは、独立型となったリアステアリング機構だ。新世代の電子マネージメント・システムによって、左右の後輪を同調制御するのではなく、左右個別に作動させるシステムになった。これにより、各々のアクチュエーターが担うポジション制御の性能は大幅に向上し、また反応時間も短縮している。
第7世代SSCは、電子制御デファレンシャルやトラクションコントロール、磁性流体サスペンションコントロール、電動式前輪ステアリングと独立後輪ステアリング等々、すべての制御を統合する役割を持ち、それが結果として魅力的なドライビング・プレジャーを生み出してくれるのだ。
また、軽量化にも大きな注意が払われている。812コンペティツィオーネの総重量は812スーパーファストより38kgも軽く、前後のバンパーやリアスポイラー、エアインテークなどに軽量なCFRP素材を使用したことが、この軽量化には大きく貢献している。
ちなみにカスタマーは、フェラーリのV12モデルとしては初となるオール・カーボンファイバー製のホイールもチョイスできるとのことだ。
参考までにホイールサイズは20インチ。タイヤはフロントに275/35ZR20、リアに315/35ZR20を組み合わせる。ホイールの内側に見えるブレーキは、「SF90ストラダーレ」でデビューした、最新世代の「エアロ」キャリパーで鋳造キャリパーの内部にエアインテークが組み込まれているのが大きな特徴となっている。
812コンペティツィオーネ、812コンペティツィオーネAには、それぞれにベースとなった812シリーズとは異なるエクステリアのディテールが与えられている。それらはもちろんエアロダイナミクスをさらに向上させるための策であるのだが、見た目にも非常に魅力的で美しい造形に仕上がっている。
例えばボンネットには、左右に横断するくぼみのなかにCFRP製のブレードが装着されており、これはエンジンルームからの排気口を隠す独特の手法である。
これによりボンネットはさらに美しく彫刻的な造形となった。あるいは熱狂的なフェラリスタにとっては、往年の「250GTO」などのレーシングカーのカラーを想像させる処理ともいえるだろうか。
クーペのコンペティツィオーネでは、リアスクリーンが1枚のアルミニウム製パネルに変化していることも見逃せない。もちろんこれもフロントエンドに始まるエアロダイナミクスへの取り組みの一環で、同時により力強いファストバック・スタイルが楽しめる。
ボディ下面やこのリアスクリーンには、ボルテックス・ジェネレーターが多く装備され、それによってエアが整流される仕組みだ。リアタイヤの後方には3本の細いスロットが設けられているが、これもまたコンペティツィオーネのスタイリングでは大きな特徴であり、また使用されるボルテックス・ジェネレーターの存在を想起させるものといえるのだろう。
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812コンペティツィオーネは999台限定ですでに受注をスタートしており、欧州での発売時期は2022年第1四半期からとなる。欧州での車両価格は49万9000ユーロ(邦貨換算約6550万円)だ。
812コンペティツィオーネAは549台限定で、2022年第4四半期から販売される予定だ。こちらの車両価格は57万8500ユーロ(邦貨換算約7600万円)となる。
最後の自然吸気V12モデルになるかもしれないとフェラリスタの間では話題になっているこの限定車だが、プレスコンファレンスでは、伝統のV12エンジンにはどのような姿であるにせよ、まだその将来はあるとのコメントがあった。それはそれで、大いに楽しみなことではないか。
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