なぜ後が続かなかった? 新たな試みに挑戦して残念な結果となった車5選
最先端だったはずが消えてしまったモデルとは
●ユーノス「800」
現在、マツダの主力車種といえば「CXシリーズ」や「MX-30」といったSUVラインナップですが、バブル景気のころは数多くのセダンを販売していました。
そのなかの1台が、1993年にユーノスブランドから発売されたフラッグシップセダンのユーノス「800」です。
外観はフラッグシップにふさわしい大型セダンながら、角を丸めた流麗なフォルムを採用。
4輪操舵やABS、トラクションコントロールを装備して実現した高い走行安定性と、アルミボンネット、ソーラー・ベンチレーション・システムなどが注目されました。
そして、ユーノス800最大のトピックスは、2.3リッターV型6気筒DOHCエンジンにリショルムコンプレッサー(スーパーチャージャーの一種)を装着した、量産車世界初のミラーサイクルエンジンを搭載したことにあります。
最高出力は220馬力と3リッター自然吸気エンジンと同等のパワーを誇り、2リッター車並みの低燃費を両立し、理想的な内燃機関に近づいたと評されました。
しかし、すでにバブル景気は崩壊しておりマツダの業績が急激に悪化したことで、1997年にユーノスブランドを廃止。ユーノス800はマツダ「ミレーニア」として継続販売されましたが、2000年のマイナーチェンジでは肝心のミラーサイクルエンジンがラインナップから消滅しました。
そして、2003年には車種整理のためミレーニアは生産を終了して「アテンザ」に統合。その後、ミラーサイクルエンジンは簡素化して「デミオ」や「アテンザ」に搭載され、他メーカーにも普及することになりましたが、複雑なメカニズムを搭載したのはユーノス800(ミレーニア)のみです。
●三菱「ギャランスポーツ」
現在のSUV人気よりもさらに日本の自動車市場を賑わせていたのが、1990年代初頭を中心とした「RVブーム」です。
当時は本格的なクロカン車が大ヒットし、各メーカーからクロカン車が販売されていました。
このブームに乗るために、一般的な乗用車をクロカン車風にアレンジしたモデルも販売され、そのなかの1台が1994年に登場した「ギャランスポーツ」です。
ギャランスポーツは7代目ギャランの派生車としてデビュー。欧州仕様の5ドアハッチバックボディをベースに、フロントに小ぶりなバンパーガードとルーフレールを装着してRV風なフォルムを実現。
また、ギャランスポーツは「GT」と「RV」を融合した「GTRV」という新しいコンセプトのモデルとアピールされ、トップグレードのエンジンは、最高出力240馬力(5速MT)を誇る2リッターV型6気筒DOHCツインターボを搭載。駆動方式も本格的なフルタイム4WDシステムを組み合わせるなど、まさにGTRVと呼ぶにふさわしい走行性能を獲得していました。
ステーションワゴンに匹敵する使い勝手の良さに、高性能エンジン+4WDという欲張りな組み合わせといえましたが、当時は5ドアハッチバック不遇の時代で、「5ドアハッチバックは売れない」というジンクスを証明するかたちで販売は低迷。
1996年に8代目ギャランが登場すると同様のモデルは設定されず、ギャランスポーツは短命に終わりました。今のクロスオーバーSUVに近いコンセプトですから、出るのが早すぎたのかもしれません。
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冒頭にもあるとおり、今や各メーカーから新型SUVが次々に発売されています。しかし、新たなジャンルやコンセプトを開拓しようというクルマは、ほとんどありません。
それだけ自動車市場が成熟したということなのでしょうが、失敗が許されないという面も大きいでしょう。
そのため、個性的なモデルが少なくなってしまったのは、寂しい限りです。
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