電動化、自動運転で欧米がタッグ VWとフォードの提携で日系メーカーに影響は
これからのビジネスモデルに必要なモノとは
大手自動車メーカーがEVを開発し、自動運転の実証実験を行い、モビリティサービスを提供するベンチャー企業を買収するのは、このような背景があるためです。
しかし、こうした投資はいかに巨大な資本を持つ自動車産業にとっても簡単ではありません。VWは、2018年11月に『2023年までにこれらの分野に対して5兆円以上の投資を行う』ことを発表しました。
VWは、2017年に1兆5000億円もの純利益を上げていますが、それをはるかに超える規模の投資となります。商用車での提携によるコストの削減は、自動車(EV)、自動運転、モビリティサービスといった分野へ投資するための、資金調達の一貫と見ることができるでしょう。
世界の自動車産業は、アメリカ、ドイツ、そして日本の3つの国が牽引してきました。そのうちの2つの国のトップメーカーが手を組んだ中で、日本の自動車メーカーはどのように動くのでしょうか。
日本のトップメーカーであるトヨタは、ソフトバンクやデンソーなどといった企業と新会社を設立、モビリティサービスのさきがけともいえるUberへ500億円を超える出資を行ったりしています。
また、日産やホンダもそれぞれに取り組みをしています。しかし、今回のVWとフォードのように、ほかの企業との包括的な提携を行う予定はないようです。
そもそも、日本の自動車メーカーは海外の自動車メーカーと提携することに積極的ではないきらいがあります。過去に行われた日系メーカーと海外メーカーの提携は、極めて限定的なものか、そうでなければ倒産の危機に瀕して結果合併せざるを得なかったというような場合がほとんどありません。
日本の自動車メーカーは、世界に誇る技術力の高さで数々の困難を打ち破ってきました。とくにモビリティサービスの開発・設計などは、これまでの自動車の開発とはまったく異なる能力が必要です。
来るべき時代に向けて、これまでの慣習にとらわれない異業種との協業など柔軟な発想が必要なのかもしれません。
【了】