車体を貫く「大きな穴」!? ヤマハ製449ccエンジンに“スーパーチャージャー”搭載! 英国WMCの斬新バイク「Mono RR」とは
英国のWhite Motorcycle Concepts(WMC)は、2026年11月3日から8日までイタリア・ミラノで開かれる「EICMA 2026」(ミラノショー)に、コンセプトモデル「Mono RR」を出展しました。
独自の発想で作られた技術実証機
英国のWhite Motorcycle Concepts(WMC)は、2026年11月3日から8日までイタリア・ミラノで開かれる「EICMA 2026」(ミラノショー)に、コンセプトモデル「Mono RR」を出展しました。
同モデルは内燃機関を搭載するモーターサイクルの技術実証を目的とした車両で、市販車として開発されたものではありません。
Mono RRは、ドイツのバイクブランドであるKramer Motorcyclesの「EVO2 690R」をベースに、WMCが特許を取得したエアロダイナミック・ダクト技術を採用しています。

前輪上部から車体中央を通り、リアシート下の出口へ至るダクトによって、気流を車体の周囲ではなく内部へ通す構造です。WMCはこの仕組みを軸に、空気抵抗だけでなく、パワートレイン性能や車両ダイナミクス、パッケージングの最適化も探っています。
CFD(数値流体力学)を用いた開発研究では、CdA値がベース車両の0.299から0.250に下がり、空気抵抗は16.4%減少しました。空気力学的揚力は77%低減し、揚抗比は111%向上しています。前後の空力荷重の分布にも改善が見られ、熱管理性能は16%向上しました。
また、カーボンファイバー複合構造のフェアリング・エクステンションにより、ライダーが受ける空気抵抗は36%減少しています。ライディングポジション、燃料容量、基本的なシャシージオメトリはベース車両から維持しました。
大きな内部ダクトを既存のシャシーに収めるため、エンジンも変更しています。ベース車両の自然吸気690cc単気筒に代わり、ヤマハ「YZ450F」の449ccエンジンを基にした過給器付きパワートレインを開発しました。小型化でダクト用の空間を確保しながら、ベース車両と同等のパワーデリバリーを目指しています。
エンジンは吸気口をシリンダーヘッド前方、排気を後方に配置するリバースシリンダーヘッド方式です。低温の吸気系と高温の排気系を分け、吸気トランペットをダクト前方の広い部分に通せる構成としました。
過給にはロータックス製C15-20遠心式スーパーチャージャーを使い、圧縮した空気をインタークーラー、プレナム、改造した44mmのボッシュ製電子スロットルボディを経てエンジンに送ります。
エンジン内部には新しいピストンと鍛造スチール製コネクティングロッドを採用し、排気系には積層造形によるチタン製エキゾーストパイプを使用します。制御を担うモーテック製M130エンジンマネジメントシステムには、クローズドループ・ラムダ制御とノックモニタリングも備えています。
ダクトの入口は前輪まわりのフロントフェンダーが形成します。後輪側にはカーボンファイバー製のリアホイール・デフレクターと、再設計したリアフェンダーを配置しました。複雑な3次元形状を持つ内部ダクトは複数に分割し、特殊な工具を用いて製造しています。燃料タンク、リアシートアッセンブリー、パワートレインの設置部とも一体的に構成されています。
完成したMono RRは初期の直線テストを終え、過給機が必要なブーストを供給し、冷却システムも意図した範囲内で作動することを確認しました。
今後は次世代型風洞「ケイツビートンネル」で実物大の惰性走行テストに加え、サスペンション荷重やヨー感度を測定し、デジタル予測との相関を検証します。物理的な車両ダイナミクステストも予定されており、CFDで示された効果を実車で確かめる段階へ進みます。



















