カーシェア車両が「ボコボコ」でそのまま放置… よく見かける「事故ってそのまま返却」はどんなペナルティがある? 利用前に確認したい「カーシェアの保険」の中身とは?
ときどき、カーシェアリングサービスのクルマがぶつけられた状態で返却されているケースを見かけます。ぶつけたままで返却すると、どういったペナルティがあるのでしょうか。また、カーシェアリングサービスの保険についても解説します。
ぶつけたままで返却するとどうなる?
では、こうした補償がありながら、事故を報告せずに返却してしまうとどうなるのでしょうか。
T社は、利用中に起きた事故や傷について、大小を問わずすべて連絡するよう求めています。そのうえで、返却までに連絡がない場合は、保険・補償の適用外となり、会員資格の取り消し対象になると明記しています。
損傷が軽微だからといって連絡しなかった場合や、事故の際に直ちに警察へ届け出なかった場合も同様です。
補償が適用されないと、何が起きるのでしょうか。
まず、事故の相手方への賠償は利用者自身の負担となり、示談交渉も自らおこなうことになります。利用した車両についても修理費を負担し、修理額が車両の時価額を上回る場合は、時価額を上限として請求されます。
さらに、オプションサービスに加入していても、規約違反がある場合はNOCの免除を受けられません。
会員資格が取り消された場合、それ以前に入れていた予約もキャンセルになります。法人会員であれば、登録運転者全員のサービス提供が停止され、T社のほかのサービスも利用できません。
報告がなければ補償の対象外になるのは、T社に限ったものではありません。M社でも、事故の際にサポートセンターへ電話で報告しなかった場合は保険・補償の適用外とし、営業補償とは別に修理費の実費を請求するとしています。

また、報告しなかった場合に問われるのは規約違反だけではありません。
道路交通法第72条は、交通事故が起きたとき、運転者に負傷者の救護や道路上の危険を防止する措置、警察への報告を義務づけています。
報告を怠った場合は3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金、物損事故で危険防止の措置を講じずに立ち去った、いわゆる当て逃げにあたる場合は1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金の対象となります。
一方で、事故をきちんと報告したとしても、その後も同じ条件で利用し続けられるとは限りません。
T社では、2年以内に複数回の事故を起こした場合、会員資格の取り消しや停止の対象となります。さらに2026年4月以降は、そのうち1回でも全損や大破により自走できなくなった事故があると、利用再開後の1年間は車両補償に5万円の免責額が適用されます。
なお、カーシェアで事故を起こしたとき、自分の自動車保険に「他車運転特約」が付いていれば使用することが可能です。
他車運転特約とは、他人から一時的に借りたクルマを運転中の事故について、そのクルマを自分のクルマとみなし、自分の自動車保険から補償を受けられる特約です。
多くの自動車保険に自動でセットされており、レンタカーやカーシェアも、自家用の乗用車などであれば対象になります。
カーシェアの補償は、事業者が車両にかけている保険によるものです。一方の他車運転特約は自分の契約によるものなので、両方を重ねて受け取るのではなく、どちらの保険を使うかという関係になります。
カーシェアの補償内容は、利用するサービスによってさまざまです。一方、他車運転特約には自分の自動車保険の補償内容が反映されるため、場合によっては自分の保険を使ったほうが手厚いこともあります。
ただし、使えば自分の等級が下がり、翌年以降の保険料に影響します。駐車中や停車中の事故は対象外とされるのが一般的です。
実際には、大手のカーシェアでは補償が手厚く設定されているため、自分の保険を使う場面はそれほど多くありません。しかし、自分の契約に他車運転特約がついているか、どのような補償を受けられるかを知っておけば、いざというときの判断材料になります。
※ ※ ※
カーシェアは、利用料金のなかに手厚い補償が含まれているサービスです。ただし、事故時に必要な手続きを怠れば、補償を受けられなくなることがあります。
小さな傷だからと黙って返却すれば、本来使えたはずの補償を受けられず、修理費や相手方への賠償を自分で負担することにもなりかねません。また、警察への報告などを怠れば、法律上の責任を問われる可能性もあります。
交通事故を起こしてしまったら、傷の大小にかかわらず、警察とクルマの所有者に連絡する。
必要な手続きをきちんと行うことが、結果として自分を守ることにもつながるのです。
Writer: スライカズヤ
損害保険会社で10年間、示談担当者として勤務し、損害査定、自動車修理の協定業務なども担当。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所 本科講座修了。現在は自動車・保険分野を中心にライターとして活動中。



































