日産の本気「ミッドシップ・スポーツカー」がスゴイ! 全長4.4m“ワイド&ロー”の「流麗フォルム」に「アルミ&カーボンボディ」採用! 時速100キロまで「約4秒」誇る“爆速”マシン! 高級なインフィニティ「エマージイー」スイス公開モデルとは!
日産の高級ブランド、インフィニティが2012年に公開した「EMERG-E(エマージ)」は、ロータス由来のアルミシャシに、発電専用エンジンとモーター2基を組み合わせた異色作でした。その詳細について振り返ります。
日産の本気「ミッドシップ・スポーツカー」がスゴイ!
コンセプトカーの多くは、会場を彩る展示物にとどまりますが、なかには走る実車として仕上げられ、観客の前でコースを駆け上がった例もあります。
日産の海外向け高級ブランド、インフィニティが2012年に公開した「EMERG-E(エマージイー)」は、まさにそんな1台でした。
EMERG-Eが世界初公開されたのは、2012年3月のスイス「ジュネーブモーターショー」です。
インフィニティは当時、EMERG-Eについて、ブランドの未来を垣間見せる先進的なミッドシップスポーツカーであり、同ブランドとして初めて欧州で開発されたモデルと位置づけていました。
最大の特徴は、発電専用エンジンを積むレンジエクステンダー方式をミッドシップに組み合わせた点です。市街地ではゼロエミッション走行が可能で、なおかつブランドが掲げる「Inspired Performance」にふさわしい動力性能を狙った提案でした。
開発の舞台は英国です。英国政府の技術戦略委員会(Technology Strategy Board)の支援を受け、ロータス エンジニアリングやエックストラック(Xtrac)をはじめとする英国企業・研究機関との共同プロジェクトとして生まれました。
通常の取引関係を越え、社外の技術や知見を取り入れた開発でもありました。

EMERG-Eのデザインは、日本、英国、カリフォルニアの各スタジオによるコンペ形式で決定しました。
採用されたのはカリフォルニア拠点のデザイナー、ランディ・ロドリゲス氏の案で、フルサイズのクレイモデルはロンドンの日産デザインヨーロッパで制作されました。
当時のチーフクリエイティブオフィサーだった中村史郎氏は、ブランド特有のロングノーズとリアの豊かなボリュームを組み合わせつつ、エレガントでありながらダイナミックな造形を狙ったと語っています。
ミッドシップ車に多いウェッジシェイプとは異なる、流れるようなフォルムです。
のちに製作された走行可能なプロトタイプには、ロータス「エヴォーラ414Eハイブリッド」と共通するアルミ製シャシなどの技術基盤が用いられました。アルミ押し出し材を接着した軽量な車台に、カーボンファイバー製ボディを組み合わせています。
ジュネーブで公開されたEMERG-Eのボディサイズは、全長4464mm×全幅1954mm×全高1219mm、ホイールベース2624mmでした。
パワートレインは、左右の後輪をそれぞれ受け持つ2基のモーターで構成され、最高出力300kW(402bhp、約408PS)、最大トルク1000N・mを発揮します。エックストラック製のシングルスピードトランスミッションを介して後輪を駆動しました。
発電を担うのは、最高出力47bhp(約48PS)の1.2リッター直列3気筒ガソリンエンジンです。
バッテリーの電力のみで30マイル(約48km)を走行でき、レンジエクステンダーを含む総航続距離は300マイル(約480km)です。CO2排出量は55g/km(NEDCモード)で、リチウムイオンバッテリーは外部電源からの充電にも対応します。
性能は0-60マイル(96km/h)加速4秒で、0-130マイル(209km/h)加速は30秒。車両重量は1598kgとされています。
その後EMERG-Eは、2012年4月の北京モーターショーでアジア初公開を果たします。
そして2012年6月28日から7月1日まで開催されたグッドウッド フェスティバル オブ スピードでは、走行可能なプロトタイプが世界で初めて公の場を走りました。
ヒルクライムのステアリングを握ったのは、当時レッドブル・レーシングに在籍していたF1ドライバーのマーク・ウェバー氏です。
この走行版にはリアスポイラーが追加されるなど、実走に対応した仕上げが施されました。
日本では2013年3月17日から4月14日まで、日産グローバル本社ギャラリーで日本初公開。同時に「エッセンス」「エセレア」も並び、インフィニティのコンセプトカー3車種がそろう世界初の同時展示となりました。
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結果として、EMERG-Eは市販モデルとして発売されませんでした。ただし走行可能なプロトタイプは、単なるデモンストレーション用ではなく、コンセプトに盛り込んだ技術を実車へ移し、将来の量産可能性を評価する技術実証車として製作されたものでした。
EMERG-Eと、日産が2016年から量産車へ導入した「e-POWER(イーパワー)」は、エンジンで発電し、駆動をモーターだけで担う点で共通します。
EMERG-Eは、レンジエクステンダー式電動スポーツカーの可能性を、走行可能なプロトタイプで示したコンセプトモデルだったといえるでしょう。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。





























