新車をお得に買うなら「在庫車」が狙い目!? 値引き増額&オプション付きや掘り出しモノが見つかることも! 短納期だけじゃないメリットとは【知って得するクルマ選び vol.2】
新車には、注文後に生産されるクルマだけでなく、あらかじめ用意された「在庫車」もあります。実はこの在庫車、選び方次第では思わぬ“お得”に出会えることも。通常の注文車とは何が違い、どんな魅力があるのでしょうか。
“在庫車選び”で確認したいポイントとは?
近年は国内におけるクルマの販売台数が以前よりも伸びなくなりました。2025年の国内新車販売台数は約457万台で、1990年の約778万台に比べると59%に留まります。
その一方で車種の数はあまり減っていません。トヨタ「セリカ」や日産「シルビア」といった2ドアまたは3ドアのクーペやスポーツカーが廃止された代わりに、トヨタ「カローラクロス」、日産「キックス」、ホンダ「ヴェゼル」のようなSUVが増えたからです。

そうなれば1車種当たりの販売台数は、以前に比べて全般的に下がります。例えばカローラシリーズは、1990年には36万9166台(1か月平均3万764台)を登録しましたが、2025年は13万8829台(1か月平均1万1569台)です。カローラシリーズの売れ行きは、35年前の38%まで減りました。
このような状況ですから、今のクルマの売り方は基本的に受注販売です。ユーザーが販売店で契約すると、その内容に沿って販売店がメーカーに発注して、生産・納車されます。
しかし一部の車種では、今でも以前と同様の在庫販売が行われています。在庫販売が最も多いのは輸入車ですが、国内で生産される日本車でも、予め生産した在庫車を販売する売り方が残っています。
在庫車台数が多いのはどんなクルマ?
日本車における新車の在庫台数が最も多いカテゴリーは軽自動車で、その次がコンパクトカーです。
軽自動車の在庫台数が多い理由は2つあります。
1つ目は、軽自動車は1人1台の割合で所有する地域もあり「子供が運転免許を取得したからスグに買いたい」といったニーズがあるからです。
また軽自動車は小型・普通車よりも価格と維持費が安く、街中で運転しやすいため、ビジネスで使われる機会も多いクルマです。この場合も「新たに支店を開業したから営業車をスグに買いたい」という需要が生じます。
在庫車は商品が既に存在するため、特に軽自動車は1週間以内に納車できます。メーカーに注文すると、納期は短くて1か月弱、長ければ6か月以上に達するため、短期間での納車を希望するユーザーには在庫車が最適です。
軽自動車の在庫台数が多い2つ目の理由は、軽自動車は薄利多売の商品で、工場の生産ペースを落としにくいことです。届け出台数が減った時期は、生産台数が上回り、過剰に供給されます。それが在庫車になるのです。
在庫台数が多いカテゴリーとしては、ほかにコンパクトカーもあります。コンパクトカーも薄利多売の商品で、短期間での納車を希望するユーザーがいます。

短納期だけではない在庫車のメリットとは?
在庫台数は、時期による変動もあります。例えば3月の決算期は、販売店を訪れるユーザーがほかの月よりも多くなります。そこで在庫車を予め豊富に用意して、来店者に備えます。
そして在庫車のメリットは、納期が短いだけではありません。メーカーへ発注する場合に比べて値引き額が多く、下取り車も高値で買い取る場合があります。
ディーラーオプションのサービス装着なども期待できます。在庫車は既に実車があるため、グレードや外装色を自由に選べませんが、出費を抑えて購入できます。
在庫車を有利な条件で買える理由は、販売会社が早期に売却したいからです。クルマは家電製品などに比べてボディが格段に大きく、保管コストも高額です。なるべく早く売却したいので、有利な条件で割安に買えるのです。
在庫車の値引き額は、商談次第では、メーカーに発注する買い方に比べて20%程度は上乗せできます。値引き額を増やせない時は、下取り車の査定額を高めることもあります。

在庫車は既に車両が存在するため、工場の生産ラインで組み付けるメーカーオプションは装着できません。しかし販売店や物流センターで装着するカーナビ、ディスプレイオーディオ、ETC車載器、フロアマットなどのディーラーオプションは付けられます。
販売店が施工するボディコーティングなども同様です。メーカーに注文する場合に比べて、ディーラーオプションの値引き額を増やしたり、あるいはサービス装着することも可能です。
ただしディーラーオプションには、注意点もあります。それはディーラーオプションには販売会社の利益が多く含まれ、メーカーオプションに比べると、卸値の割に小売価格が高いことです。言い換えれば、ディーラーオプションは儲けが多いため、多額の値引き販売も可能です。
そうなるとカーナビやエアロパーツなど、高額なディーラーオプションを装着して購入する場合、値引き額が多くてもあまり喜べません。在庫車を買う時には、この点に注意して、ディーラーオプションのサービス装着なども商談しましょう。

このほか在庫車には、人気の高いメーカーオプションやディーラーオプションを予め装着している車両も多くあります。例えば全高が1700mm超のスライドドアを装着した軽自動車では、そのグレードに標準装着される電動スライドドアは左側だけでも、在庫車にはメーカーオプションの右側も装着していることがあります。
同様に在庫車にはメーカーオプションの運転支援機能、ディスプレイオーディオ、バックモニターなどが付いていることも多いです。在庫車のグレード、追加装着しているメーカーオプションやディーラーオプションなどを細かく確認すると、意外にオトクな「掘り出し物」が見つかるかもしれません。
ボディカラーも、在庫車はホワイトやブラックなどの人気色をそろえています。これらの色彩は、数年後に売却する時も有利です。つまり在庫車は、オトクに買えて高値で売却できる可能性があるのです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。






