しかしながら、一方で車高アップは心配事でもあります。走行時における安定性が失われていないかということです。AUTECHではこのクルマに対し、専用の足回りを与えています。

　乗り心地を犠牲にしないように考えられた前後のショックアブソーバーは、伸び側の減衰力を高めて浮き上がりを抑制するという手法で対処。

　また、フロント側のショックアブソーバーには、サスペンションが伸びた際にもしっかりと路面にタイヤが接地するように、アブソーバー内部にリバウンドスプリングが与えられています。

　実際の街中での走行シーンは、車高を上げたことを感じさせない素直なハンドリングと高い安定感が印象的です。

　足回りがしっかりしているのでフラつきはなく、一度走り出してしまえば車高が上がっていることを意識させないほど、自然で快適な走りを実現してくれます。通常、SUVのように車高が高くなると交差点などで曲がった際にフラつく感覚が生じやすいのですが、このクルマではそのような不安定さはありません。

　もちろん高速道路やワインディング路などスポーティなシーンでも、車高が高くなったにもかかわらずグラつくようなことはなく、フラットに駆け抜けてくれました。車高が高くなったことを意識しないで走れることはありがたいですね。

　高速道路ではステアリング操作に適度な重さが加えられ、安定感を与えてくれるチューニングが施されています。特に直進時の挙動が明確で、ステアリングのニュートラル付近での操作感がすっきりとしているので、長時間の高速走行でも疲れにくく、快適に運転することができます。

　一方、ワインディング走行時には、カーブに応じてクルマの動きがしっかりと伝わる操舵フィールが特徴。コーナリング時に旋回Gが高まるにつれて、しっかりとした手応えが感じられるように調整されており、クルマとの一体感が増し、より安心してコーナーを走ることができます。

　そこに基準車であるノート特有のe-POWERの高いトルクとスムーズな加速も相まって、滑らかな走行体験を提供してくれます。

　街中でのストップ＆ゴーでも、高速道路やワインディング路などのスポーティなシーンでもストレスを感じることなく、滑らかに走行できる点はe-POWERを搭載したこのクルマの大きな魅力です。

　そんなオンロード性能を持ちつつも、いざとなれば悪路も受け入れてくれる25mmアップの車高や前後の専用プロテクターがあれば、雪山だって悪路だって安心して進入できるでしょう。

　この仕上がりなら、日常からレジャーまで、どんな時も使い勝手良く、頼りになる相棒になってくれること間違いありません。

［Text：橋本洋平　Photo：土屋勇人］