2025年1月30日に発表され、同年4月3日発売となったスズキの本格四輪駆動車「ジムニー ノマド」。

　しかし注文が殺到し、受注停止とともに増産のアナウンスがありましたが、9月半ば時点での最新の状況についてはどうでしょうか。首都圏にあるスズキディーラーに問い合わせてみました。

　2025年1月30日、ジムニー ノマドが発表されるやいなや、注文が殺到。わずか4日間で月販目標である1200台を大幅に上まわる約5万台の注文を受け、新規受注を停止するという異例の事態となったのは記憶に新しいところです。

　ジムニー ノマドは、4代目となった本格四輪駆動車「ジムニー／ジムニーシエラ」に追加される形で登場したロングボディの5ドアモデルです。

　インドのグルガオン工場で生産され、日本に輸入されている「逆輸入車」でもあります。

　JAIA（日本自動車輸入組合）が公表している「2025年8月度輸入車新規登録台数」によると、スズキの新規登録台数は1393台。同月前年が7台であったことを考慮すると、あきらかに増えていることが分かります。

　ちなみに、2025年1月から8月までの累計台数は2万2496台であり、同時期の2024年の台数は543台でした。もちろん、同じくインド製のコンパクトSUV「フロンクス」も関係しているでしょうが、大幅な増加はジムニー ノマドも少なからず関係している可能性が高そうです。

　7月には日本向けのジムニー ノマドの生産台数を月間3300台に増産すると発表されたものの、同月下旬からは再び出荷が停止。8月26日に再開され、現在にいたります。

　生産の状況が不安定であることも影響しているのか、街中でジムニー ノマドに遭遇することは稀で、たまたま見掛けると「おっ、ノマドだ」と目で追い掛けてしまう人も多いのではないでしょうか。

　ジムニー ノマドの新車価格（消費税込）は5速MTモデルが265万1000円、4速ATモデルが275万円です。

　すでに注文した人、購入を検討している人にとっては一刻も早い納車を待ち望んでいると思われますが、「即納して欲しい」場合は新古車または中古車のなかから選ぶことになります。

　中古車検索サイトによると、ジムニー ノマドのもっとも安い個体が345万円（AT車）と、少なくとも70万円のプレミア価格となっています。

　現在の状況について、首都圏にあるスズキディーラーに聞いてみました。

「日に数件、ジムニー ノマドに関するお問い合わせをいただきます。大変申し訳ありませんが、現時点では『受注停止』の状態なんです。ご注文はもちろんのこと、お見積書も作成できない状態です。

　私たちもお詫びすることしかできず、申し訳ない気持ちでいっぱいです」

　もしや…と思いましたが、別のスズキディーラーでも同様の回答となりました。

「大変申し訳ありませんが、ジムニー ノマドは受注停止の状態なんです。ホームページにも掲載しているんですが、（その内容をご一読いただいたうえで）一縷の望みを託してお電話をいただくこともよくあります。

　お気持ちは痛いほど分かるだけに、可能であればバックオーダーを受け付けたいところなんですが、それもできない状態で。

　ジムニー ノマド発表直後、わずか数日で受注停止になったときは、3ドアやシエラをご提案すると興味を示してくださるお客様もいらっしゃいましたが、最近はノマド一択といった方が多く、辛抱強くお待ちいただいている状況です」

　ユーザーとしては注文すらできない、ディーラーとしては欲しい人がたくさんいるのに売り物がない…。

　双方にとってのジレンマが早く解消することを願うばかりです。