日産は2024年3月28日、最上級ミニバン「エルグランド」の改良モデルを発表しました。
　
　現行エルグランドは2010年に登場後、14年目を迎えフルモデルチェンジが期待されるなかで、法規対応に伴う一部仕様変更が実施されています。では次期エルグランドはいつ登場するのでしょうか。

　エルグランドは1997年5月に登場した高級ミニバンです。押し出し感の強いエクステリアや豪華で広々としたインテリア、高い動力性能を持つパワートレインを採用したことで、高級ミニバンという新たなジャンルを切り開き、人気を博しました。

　現行モデルは3代目で、2010年8月に発売されました。「キング・オブ・ミニバン」をうたい、堂々としたデザインや豪華なインテリアはそのままに、従来のエルグランドからは大きく変化しました。

　低重心の新プラットフォームを採用し、従来のFR（後輪駆動）レイアウトからFF（前輪駆動）に刷新。全高も85mm低くして1815mmへと抑え、高性能サスペンションや高剛性ステアリングを装備するなど、スポーティさを打ち出したモデルへと路線変更を図っています。

　パワートレインは、2.5リッター直列4気筒エンジンに加え、最高出力280馬力・最大トルク344Nmを誇るパワフルな3.5リッターV型6気筒エンジンをラインナップし、全車CVTを組み合わせます。

　2014年には存在感を強めた新デザインを採用するなどのビッグマイナーチェンジが実施され、さらに2020年にもデザイン変更や先進運転支援システムの強化などが行われています。

　そして今回は、バックカメラや後方検知システムなどの「後退時車両直後確認装置」の装備義務が2024年5月から継続生産車に適用されることから「インテリジェント アラウンドビューモニター（移動物検知機能付）」、「ディスプレイ付自動防眩式ルームミラー」を全車に標準装備しました。

　一般的に、遅くとも7年前後でフルモデルチェンジのサイクルを迎える国産車としては異例ともいえるほどの長いモデルライフを送るなかで、今回改良が実施されたということから、日産は現行エルグランドをしばらく販売され続けるものと見られます。

　一方で、高級ミニバンというジャンルは大家族の移動という目的に留まらず、従来の大型セダンに代わりVIPや重役などを乗せるショーファーモデルとしての役割も担うようになるなど、新たな需要が生まれました。

　2023年6月にはトヨタ「アルファード／ヴェルファイア」が全面刷新し、正統な進化を遂げたことに加え、レクサスが海外専用車として展開していたフラッグシップMPV「LM」を2023年12月下旬に日本に初導入。

　さらに、ホンダも生産工場の閉鎖により販売終了していた最上級ミニバン「オデッセイ」を中国から輸入販売して再投入するなど、活況を見せています。

　そうしたなかで、現行エルグランドはデザインやパワートレインといった部分だけでなく、先進運転支援システムなどの機能面でも設計の古さが目立つようになってきており、ますます次期エルグランドへの期待が高まるばかりです。

　なお、今回のエルグランド改良の直前である3月25日には、日産は中期経営計画「The Arc」を発表しています。

　計画では2026年度までに計30車種の新型車を投入することが明かされ、日本においては乗用車ラインナップの80％を刷新し、5車種の新型車を投入することがアナウンスされました。

　さらに、投入予定の新型車とみられるモデルが走行するイメージ動画も公開されましたが、この動画で登場するモデルは車名が不明であるものの、シルエットとテールランプ形状が強調して示されていることから、何らかの予告を含んでいるものと見られます。

　そのひとつに大型ボディを持つミニバンがあり、ボディ形状などを見ると、2023年10月の「ジャパンモビリティショー」で世界初公開され、次期エルグランドの面影を感じさせるコンセプトカー「ニッサン ハイパーツアラー」にも類似しています。

　The Arcでは次期エルグランドに関してはっきりとした予定は示さなかったものの、新型車の投入が確約されていることや、動画が実際に投入予定の新型車を示しているのであれば、今後3年間での登場に期待が持てそうです。