クルマ好きが年始のイベントとして注目する「東京オートサロン」は、さまざまなカスタムカーやチューニングカーが毎年展示されます。
　
　2023年は1月13日から15日まで幕張メッセ（千葉県）で開催予定ですが、そのなかで同県にある自動車専門学校のカスタムカーが注目を浴びそうです。

　1983年に雑誌「OPTION」から生まれた東京オートサロンは、自動車メーカーがオートサロンに合わせて新車発表するほか、日本のチューニング業界の一大イベントです。

　その東京オートサロンに1997年から出展しているのが千葉県にある日本自動車大学校（通称NATS）となり、そこのカスタマイズ科では毎年学生が課題の一環としてカスタムカーを製作しています。

　過去にはマツダ「ロードスター」ベースの「COSMO VISION」や、日産「フェアレディZ ロードスター（Z33型）」ベースの「GT-R（R35型）」の見た目に仕上げた「NATS R35 Road Star」、スズキ「ジムニーシエラ」ベースの「NATS JIMNY kimun kamy」などさまざまなカスタムカーを世に送り出してきました。

　また、東京オートサロン2023に向けてはトヨタ「アルファード」ベースのスーパーデューリートラックを製作するといいます。

　それに並行して製作されるのがトヨタ「86」をベースにトヨタ「GR GT3 Concept」風のカスタムカーです。

　GR GT3 Conceptとは、TOYOTA GAZOO Racing（以下TGR）が東京オートサロン2022で世界初公開したレース専用車両のコンセプトカーとなります。

　公表されているボディサイズは、全長4590mm×全幅2040mm×全高1140mm、ホイールベース2725mm。GR GT3 ConceptについてTGRは「ドライバーファーストのクルマづくりを推進し、カスタマーモータースポーツの最高峰であるGT3のお客さまに選んでいただけるような魅力的なクルマをご提供したいという思いで発表しました」と説明しています。

　そんなトヨタの本気が垣間見えるGR GT3 Conceptを意識して製作されるのが「TOYOTA86 GT STANCE」です。

　NATSが公開する完成予想図では、見た目はGR GT3 Conceptを意識したヘッドライトデザインに加えて、フロント・サイド用のエアロパーツや大径アルミホイールが装着されることが分かります。

　それでいながらルーフからテールエンドにかけての造形は86の面影を残しています。

　さらに製作途中の画像では、一度バラバラにされた様子や新たにパネルが追加される様子が映し出されていました。

　今回のTOYOTA86 GT STANCEを制作する背景について、NATSの学生は次のように話しています。

「そもそもGTマシンは公動走行不可能ですが、保安基準に適合させたGTマシンで公道走行したくて製作に至りました。

　東京オートサロン2022でTOYOTA GAZOO Racingに展示してあったGT3というコンセプトカーの公道走行可能版です。

　シルエットもGT3をオマージュしつつオリジナルも入れつつ製作しております」

　またTOYOTA86 GT STANCEを完成させるまでの過程で苦労する部分について、次のように語っています。

「ロングノーズなシルエットを出すためにフロント延長、それに伴うエンジンルーム内のレイアウト変更などが大変です。

　さらにフロントパイプフレーム化、配管、ハーネス延長などすべてが初めての作業ばかりでこれも大変でした。

　また地元のトヨタカローラ千葉との産学共同としてベース車の『86（DBA－ZN6）』を用意していただき製作しています。

　そのほかにも、アフターパーツやカスタムメーカーに多数部品協賛していただき製作完成を目指しております」

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　NTASの学生が製作するカスタムカーは、カスタマイズ科に入学した学生が東京オートサロンに向け約1年かけて完成させており、最終的にはナンバー取得を念頭に入れているため、公道走行が可能だといいます。

　2023年初旬には、ナンバーを付けたTOYOTA86 GT STANCEが見られるかもしれません。