ATもスライドドアもない!? スズキの「7人乗りミニバン」は5速MT×FR! 登場22年、今も新車で買える「APV」をインドネシアで見た!
インドネシアにおいて22年もの間、販売されているスズキ「APV」について解説します。
超シンプル装備の「1.5BOXスタイル」ミニバン
インドネシア発の多目的車として生まれて、22年。今も現役活躍中で新車販売が継続されているのが、スズキ「APV」です。
そのビジュアルは、日本のミニバンブーム到来時の「1.5BOX」スタイルを色濃く残していますが、その秘密は構造にありました。現地のスズキで最もロングセラーモデルであるAPVの実車を、2026年夏開催のインドネシア国際オートショー「GIIAS2026」でチェックしてきました。
APVは、2004年7月に発表されたモデルで、新興国を中心に展開される世界戦略車です。同年8月よりインドネシアで現地生産が開始され、翌月より販売をスタート。現在まで現役を貫いています。
APVという車名は、「All Purpose Vehicle」の頭文字を取ってもので、MPV(Multi Purpose Vehicle)と同じ意味となります。

敢えてミニバンと言わなかったのが、ミニバン(乗用車)と商用バンの2タイプが設定されているためです。さらに以前は小型トラックのベースにもなっており、それが海外版キャリイ(先代)としても投入されていました。
最新型はフェイスリフトを受けた改良型で、よりミニバンらしいスタイルに進化していますが、基本的な構造は従来のままです。
では、最新仕様を見ていきましょう。現在は、7人乗り仕様の「APVアリーナ」シリーズに加え、8人乗りのスタンダードモデル「APV GE」,そして2シーターで後部ウィンドウが省かれる商用バン「APV BLIND VAN」が用意されています。今回は展示車であるアリーナの最上級グレード「SGX」を中心に紹介します。
ボディサイズは、全長4320mm×全幅1655mm×全高1865mmというトールワゴンスタイル。背の高さを覗けば、ホンダ「フリード」(全長4310mm×全幅1695〜1720mm×全高1755〜1780mm)と同等の大きさです。背が高い理由のひとつは、未舗装路での走行や洪水などの水害時も考慮し、最低地上高を175mmと高めに設定していることにあります。さらにエンジン用エアインテークも高い位置に配置されています。
パワーユニットは、信頼性が高いG15A型1.5リッター直列4気筒SOHCエンジンで、最高出力68kW(約92ps)/6000rpm、最大トルク126Nm/3000rpmと実用的なもの。トランスミッションは5速MTのみで、現在、ATが非設定となっています。
駆動方式は、トラックベースとなっていたことから想像できるように、フロントエンジンリヤドライブのFRのみ。骨格はラダーフレームとモノコックボディを組み合わせた構造なので、堅牢さも売りとなっています。
最上級グレードのSGXでは、エクステリアのフロントグリルとドアミラー、ドアハンドルがクローム仕上げとなり、フォグランプを標準化。さらにインテリアでは、2列目がキャプテンシート仕様とされています。全体的に見ても、かなりシンプルな装備内容となっており、日本車でいえば、一昔前の商用車を連想させます。
さらにエクステリアを見ていくと、非常にシンプルなデザインで、往年の商用車から派生したミニバンたちを彷彿とさせますが、ボディに対して窓が小さめなので、ちょっとずんぐりむっくりした印象を受けます。
特に時代を感じるのが、シンプルなヘッドライトやテールランプで、2000年代の国産車そのままという印象。実際にヘッドライトもハロゲン式となります。
意外だったのが、後席ドアがヒンジ式なこと。そのため、手動式でもドアの開閉が楽々。スライドアがマストではない市場では、コスト面でも操作性でも、ヒンジドアが有利なのでしょう。
ラダーフレーム構造を持つFRのため、床面は高く乗降時に気になりますが、シンプルな構造のため、頭上空間も広め。もちろん、冷房が良く利くように、頭上に後席用送風口が備わっています。シート素材は、ふかふかなファブリックとなっており、見た目も座り心地も懐かしさを感じます。
SGXは2列目がキャプテンシートとなるため、2列目と3列目シートがウォークスルーとなっていますが、他グレードはベンチシートとなるため、3列目へのアクセスには、シートを動かす必要があります。キャプテンシートが贅沢品というのは、最新ミニバンもAPVでも同じです。
運転席まわりで最も目を引くのが、マニュアルトランスミッションのシフトレバーでしょう。APVでは、定番のフロアシフトを採用しているので、運転席と助手席がしっかりとセパレート。
ダッシュボードもシンプルで、主な装備は2眼式アナログメーターパネルに、エアコン、1DINオーディオ、グローブボックスを含む小物入れ程度です。
安全装備に関しても、驚くほどシンプルで、デュアルSRSエアバックこそ備わりますが、ABSすら付いていません。
価格は展示車のSGXが2億5470万ルピア(日本円で約220万円(2026年10月末のレート)とお安いですが、もう少し予算を増せば、より新しい世代のMPV「エルティガ」や「XL7」のエントリーグレードに手が届くため、ニーズは、積載性や乗車スペースの広さに魅力を感じる人か、できる限り安い多人数乗車が欲しい人に限られてくるのではないでしょうか。
既に海外向けキャリイも2019年に新型へと切り替わっているため、近い将来にAPVの未来にも何か動きがあるかもしれませんね。





















